「1人で歌いたい」に対応

 「隠れたニーズ」を掘り起こすことで成長を続けるコシダカの取り組みを象徴するのが、2011年11月にスタートした、1人利用向けのカラオケ専門店「ワンカラ」だ。

 全国カラオケ事業者協会が発行する「カラオケ白書」によると、カラオケ人口は1990年代をピークに減少傾向だ。会社の上司や同僚などと、大勢でお酒を飲みながら楽しむという消費行動が、かつてほど好まれなくなったことが背景にある。

カラオケ人口は減少傾向
●カラオケ参加人口とカラオケボックスルーム数の推移
出所:カラオケ白書2014

 一方で「仲間と盛り上がる」のではなく、「1人で歌ってストレス発散する」というニーズはあるはずだ。1人で来店する顧客が、ある程度いることは知られていた。しかし、「1人で部屋を占領していて効率が悪い」「歌ってばかりで飲食をしてくれない」と、カラオケ店にとってはあまり喜べない客であるのも事実だ。

 そこで始めた「ワンカラ」は、1坪ほどの大きさの部屋にある、高性能コンデンサーマイクを備え付けたプロさながらの設備の中で、思う存分歌い込めるようにしたのだ。料金は1時間900円からとやや高めだ。従業員を既存店より減らすなどして、飲食需要がなくとも収益を上げられるようにした。

 ワンカラは既存店に比べて出店や機材などにコストがかかる。投資の回収を早めるためには、部屋の稼働率を高める必要がある。

「ワンカラ」には、ファーストクラスと呼ばれる広めの部屋もある

 そこで2015年9月にスタートしたのが、ワンカラを使ったオンライン英会話サービスの提供だ。テレビ電話ソフト「スカイプ」などを使って海外にいるネーティブ講師と受講者がパソコンで英会話学習をする「オンライン英会話」は、今やメジャーな英語学習法の一つとなった。1レッスン1000円以下と通常の英会話に比べてリーズナブルな上、好きな時間に自宅で英語学習ができるのが強みだが、男性ビジネスマンにとっては妻や子供がいる家の中で「女性講師と向き合うのが気恥ずかしい」「声に出して発音すると笑われる」といった悩みも出てきている。

 個室のワンカラ設備を活用すれば、こういった悩みからは開放されるため、集中して学習できる。コシダカは2015年6月にイングリッシュアイランド(東京都港区)を買収している。ワンカラ英会話は、現在10店舗のみの展開だが、ワンカラの出店が増えれば、今後はイングリッシュアイランドがフィリピンのセブ島に抱える講師陣を使って本格展開する予定だ。