「居抜き」で出店コスト抑制

 お金をあまり持たない高校生をカラオケに呼び込むサービスも展開している。高校生グループなら室料ゼロ円という「ZEROカラ」だ。ドリンク1杯だけでカラオケを楽しめるとあって、大きな集客効果が生まれた。

 少子化という逆風の中、まねきねこの顧客に占める高校生の割合は対前年比で2桁増になった。大人になっても来店してくれるように、種をまいておくという意味もある。

 「まねきねこ」は総合余暇サービス提供企業を標榜する、コシダカホールディングスが運営するカラオケチェーン店だ。現在、全国に398の店舗を持ち、店舗数はビッグエコーに次いで2番目の規模を誇る。

 年間30~40店舗のペースで開業してきたが、これまでは郊外中心だったため、都心部にはまだ店が少ない。

 その背景には、大きな繁華街を中心に展開するカラオケチェーンなどとは違う独自の戦略がある。1997年、群馬県伊勢崎市に開店したまねきねこから、同社は出店にある基準を設けた。営業不振で閉店してしまったカラオケ店の後に入り、その設備を使って新たに店をオープンする「居抜き出店」にこだわり続けたのだ。

 郊外では若い消費者が急速に減少したところも多く、かつては業績の良かったカラオケ店が苦戦する例が目立つ。ライフスタイルの変化や、近年の飲酒運転に対する取り締まりの強化なども、「2次会はカラオケ」の流れから人々を遠ざける要因となっている。

上場来8期連続増収を達成した
●コシダホールディングスの業績
注:決算期は8月期

 コシダカは、こうした「カラオケ不況」をチャンスに成長してきた。もちろん居抜きでコストを抑えた出店は可能だ。しかし、もともと不振店だった店で、どうすれば売り上げを伸ばすことができるのか。

 食べ物の「持ち込み自由」だけでなく、カラオケチェーン店でセルフサービスのドリンクバーを初導入するなど、一見採算を無視しているような施策で業界に驚きを与えてきた。10億円かけて「すきっと」と呼ばれる自前の通信カラオケシステムを開発。日本の業務用通信カラオケを牛耳る第一興商のDAMや、エクシングのJOYSOUNDに対抗し、独自サービスを提供することもしている。

 「お客様に喜んでいただき、リピーターになってもらえれば利益は出る」(腰高博社長)という方針の下、様々なアイデアが顧客獲得につながっている。

 「利用者が大して期待していないサービスに力を入れる」(同)ことも重要だ。一般的にカラオケ店は施設の清掃やサービスの水準が低いことも少なくない。そんな中、コシダカはあえて店員には挨拶や笑顔を徹底させ、店内を明るく、入りやすい印象に保つよう工夫している。利用客に「驚き」を与え、リピーターにしてしまうのである。

カラオケ店の稼動率を高める工夫(イメージ)