<span class="fontBold">生鮮スーパー「7FRESH」</span>
生鮮スーパー「7FRESH」
<span class="fontBold">北京市内の開発区に本社を構える</span>
北京市内の開発区に本社を構える

 X事業部では、「無人冷蔵庫」や「無人薬販売棚」の実現に向けた技術開発も進めている。北京の本社近くにオープンした生鮮スーパー、7FRESHの1号店では、来店客に自動でついていき、商品の金額を計算するショッピングカートを準備しているが、こうした基盤技術もX事業部が開発しているという。

 実は京東内には、Y事業部もある。こちらはAIなどソフトウエアに関連する技術開発を担当する。AIやビッグデータを通じて、「どの商品をどれくらい仕入れればいいか」「いくらで売るか」などを判断し、サプライチェーンの最適化を目指す。

 ネット通販を主力事業にしながらも、ハードとソフトの技術を磨き、リアル店舗の革新に並々ならぬ意欲をみせる京東。ライバルのアリババも同様にネットとリアルの融合に新たな商機を見いだす。地方百貨店を買収したり、菜鳥網絡(ツァイニャオ)という物流関係のグループ会社も作った。

「オンライン」VS「オフライン」

 だが、CtoC(消費者間)のネット通販サイト「淘宝網(タオバオ)」から事業を拡大し、オンライン決済の「支付宝(アリペイ)」を普及させてきたアリババが重きを置くのは、やはり、オンラインでのプラットフォーマーとしての地位を保つこと。スマホ・車載向けのOS(基本ソフト)の開発に力を入れ、配車アプリや自転車シェアアプリのベンチャーに出資するのも、そうしたオンライン事業を基盤にする姿勢の表れと言えるだろう。

 だが、京東の立ち位置は違う。地に足の着いたオフラインの世界を大事にする。その原点は、京東がリアル店舗から事業をスタートさせたことと無縁ではない。

 京東集団の創業者である劉強東CEOは江蘇省宿遷市の農村出身だ。上海に隣接する江蘇省には、長江(揚子江)の南側に南京市や蘇州市などの大都市がある。一方で宿遷市のある揚子江の北側は南側に比べて貧しい。現在の宿遷市もマンションは立ち並んでいるものの、蘇州などとの規模の差は歴然としている。

 宿遷で生まれ育った劉氏は北京の中国人民大学に進学。同大を卒業して、日系企業で2年ほど働いた後、起業の道を選んだ。

 1998年、当時は電気街、現在はスタートアップ企業が集まる北京・中関村の電子機器市場で光ディスクなどを売る販売店を開いたのだ。

 注文を受けてから商品を探して仕入れる店舗が多い中、劉氏が開いた販売店は客を待たせずにすぐに納品できることを売りにし、売り上げを伸ばしたという。物流に強みを持つ現在の京東の原点がここにある。

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