ボルボは2008年、「2020年までに新型車での交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」というビジョンを発表した。自動運転技術に積極的なのは、同社の強みである「安全」をさらに進化させるためだ。

 そして今年、ボルボは「完全自動運転車を2021年に市場投入する」と表明。独BMW、フォードと並び、自動運転車の早期投入に最も意欲的なメーカーとして名乗りを上げた。

 BMWの年間販売台数は225万台、フォードは663万台(いずれも2015年)で、売上高も利益もボルボよりも桁が1つ上だ。ボルボは小規模メーカーながら、同業他社と提携せずに完全自動運転を実現しようとしている。

ウーバーと最初に手を組む

異業種との積極的な提携で存在感を高めている
●自動運転分野での主な取り組み

<span class="caption001"><b>米ウーバー・テクノロジーズと完全自動運転車を共同開発。両社で3億ドルを出資し、2021年までの完成を目指す</b></span>
米ウーバー・テクノロジーズと完全自動運転車を共同開発。両社で3億ドルを出資し、2021年までの完成を目指す
<span class="caption001"><b>スウェーデン、英国、中国での実証実験「ドライブ・ミー」では、一般市民に試作車を提供し、ドライバーの様々なデータを取る</b></span>
スウェーデン、英国、中国での実証実験「ドライブ・ミー」では、一般市民に試作車を提供し、ドライバーの様々なデータを取る
<span class="caption001"><b>スウェーデンのオートリブと共同出資会社の設立で合意。自動運転のソフトウエアを開発し、他のメーカーへ販売する</b></span>
スウェーデンのオートリブと共同出資会社の設立で合意。自動運転のソフトウエアを開発し、他のメーカーへ販売する

 そのための戦略が異業種との積極的な提携だ。今年8月、ボルボはライドシェア(相乗り)最大手の米ウーバー・テクノロジーズと自動運転車を共同開発すると発表した。投資額は3億ドル(約315億円)で、ウーバーがセンサーやソフトウエアを、ボルボはブレーキや電気系統が故障した時のバックアップ機能の開発を担当する。

 「打診はウーバーからだった」。サムエルソンCEOは本誌にこう明かした。自動運転技術をライドシェアに導入しようとするウーバーに対し、世界中の自動車メーカーが秋波を送る。自動車各社を“値踏み”するような状況にあるウーバーが最初に声を掛けたのが、ボルボだったのだ。

 今年9月には自動車部品大手のオートリブ(スウェーデン)と自動運転のソフトウエア開発に特化した共同出資会社の設立で合意。画像処理で台頭するイスラエルのベンチャー企業、モービルアイや米半導体大手のエヌビディアとも早くから提携している。

 サムエルソンCEOは「未来志向の開発はこれまでと違う。重要なのはパートナー」と言う。その言葉通り、IT(情報技術)分野で他社との提携を進めながら、ボルボの哲学「安全へのこだわり」をさらに強化しようとしている。

 ボルボ本社横にある「セーフティーセンター」。どの角度からでも衝突実験ができる施設は、安全で時代を築いたボルボの代名詞と言える。

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