「モノ作りは分からんから任す」

 メーカーとして事業を展開しようにも、当初はモノ作りの経験者は社内にいない。鈴木社長は「私自身、製造や開発は分からない。だから中途で採用した若手に任せてきた」と振り返る。

モノ作りは転職組が引っ張る
●中途採用の人材が活躍する
モノ作りは転職組が引っ張る<br />●中途採用の人材が活躍する
増嶋克浩・戸田ファクトリー長(左)、高橋省悟・常務取締役開発生産本部長(中)、森謙二・リサーチセンター長兼開発生産準備課長(右)(写真=都築 雅人)

 開発で中心的な役割を担う森謙二リサーチセンター長は、入社前に別の医療機器メーカー2社で開発経験を持っていた。3社目の日本ライフラインに入って感じたのが「自由とそれに伴う責任の大きさ」だという。

 入社間もない2007年、30代だった森氏は、生産に必要な1億3000万円の装置の購入を申請した。即座に稟議が通った。「金型でも何でも開発に必要なものはすぐに認めてもらえた」(森氏)。

 人材の採用も同じ。ある時、森氏は開発に欠かせない装置の操作にたけた技術者を日本ライフラインに入社させたいと考えた。その技術者は浜松市在住だった。それを知った鈴木社長は東京までの交通費や宿泊代を自ら負担し、技術者を社内の宴会に呼び、日本ライフラインに入社するよう口説いた。森氏は「社長にここまでされたら頑張るしかない」と意気に感じた。

 こうした取り組みが実り、ヒット商品も生まれた。2012年10月発売の心腔内除細動システムだ。森氏が中心になって開発を進めた。社内では「オンリーワン商品」と呼ばれる、市場に競合が存在しない商品だ。売上高に占める自社製品比率は2011年3月期に3割だったが、5年後の2016年3月期には5割強になった。商社が製造業に進出するという“奇策”は成功した。

4期連続の増収増益へ
●日本ライフラインの業績
4期連続の増収増益へ<br />●日本ライフラインの業績
心臓循環器分野で高いシェアを握る
●売上高の内訳(2016年3月期)
心臓循環器分野で高いシェアを握る<br />●売上高の内訳(2016年3月期)

 商社機能にも引き続き磨きをかけてきた。その一つが営業力の強化だ。

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