資本面でも東レがサポート

南青山アイクリニックでは累計500人の患者にナイトレンズを処方。満足度は高いという(写真=的野 弘路)

 決め手となったのは東レが開発したレンズ用素材。酸素透過性が高く、指で曲げても割れない特殊な素材だった。矯正用レンズを作るために提携したいと申し出たが、当初は無名のベンチャーゆえに門前払いとなった。それでも粘り強く交渉を続け、約1年後に素材供給の契約を締結した。

 見川氏は個人保証で金融機関から資金を借りるなどし開発を続けたが、臨床試験には億円単位の費用がかかる。出資を打診した投資会社の一社で医療分野を担当していたのが、現社長の鈴木太郎氏(冒頭の写真左)だ。見川氏の志に共感し、2006年にユニバーサルビューに参画した。資金調達や経営面は鈴木社長が担うことで、見川氏は開発に集中できるようになった。

 2006年から久留米大学や長崎大学の協力を得て臨床試験が開始。ただ、2008年にリーマンショックが発生して、再び資金調達が難航した。そこで、再び協力を要請したのが東レ。これまで集まったデータを見せ、出資してほしいと頼み込んだ。東レも、実績を重ねつつあるユニバーサルビューを評価し、資本提携に至った。

 その後、厚労省から医療機器としての承認を得て、2012年にナイトレンズを発売。2015年10月には、産業革新機構から3億円を調達した。2018年をめどに上場も計画している。

 現在はアジア10カ国で、医療機器として販売するための承認申請準備を進めている。承認取得後、東レと組みアジアでの販売を始める計画だ。鈴木社長は「目に特化したベンチャーとして、今後も新しいコンタクトレンズの開発を加速していく」と意気込む。

 目下、開発を進めているのが、近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」。ピンホールカメラの原理を利用し、1枚で近視、乱視、老眼に対応できる世界初のレンズだ。現在、臨床研究を進めており来年度中の商品化を目指す。

 創業16年目を迎え、開発や営業、技術など含め社員数は17人に増えた。苦難を乗り越え世に出たレンズは、アジアの人々の「目」を変える可能性も秘めている。

(日経ビジネス2016年1月18日号より転載)