近視の進行も遅らせる

 通常のコンタクトレンズは日中に装着するが、ナイトレンズはその逆。夜、眠っている間に装着する。レンズに特殊なカーブが付いており、寝ている間に角膜の形状を平らに近付ける。角膜が平らになると屈折率が下がり、網膜に焦点が合って近視が一時的に改善する。臨床試験では、視力が0.06から0.5の患者の9割で視力が1.0以上に改善する効果を確認している。レンズは朝外すと夜まで角膜の形は戻らず、裸眼で不自由なく過ごせるようになる。

 この技術は「オルソケラトロジー」と呼ばれ、1960年代に米国で開発された。日本では2009年に厚生労働省が医療機器として初めて承認、現在は3社が製造販売している。その先駆け的存在がユニバーサルビューだ。同社のレンズは既に累計1万5000人以上に処方されており、販売数量で国内シェアは約5割の最大手だ(総販売元は自社でコンタクトレンズも手掛ける東レ)。

 発売当時からナイトレンズを扱っている南青山アイクリニックの戸田郁子院長は「矯正レンズは日中裸眼で過ごせるだけでなく、近視の進行を遅らせる効果もあると言われている」と話す。

 レンズは約3年使える。現時点では保険対象外のため、費用は初期の検査費も含めて約19万円と安くはない。それでも利用者の満足度は高いという。導入している眼科は徐々に増え、1年前に比べて5割伸びた。

 ナイトレンズは角膜の形状に合わせて、60種類の中から選択できる。どの患者にどのレンズが合うかすぐに分かるよう、球面度数や角膜の形などを入力するだけで簡単に患者に合ったレンズを処方できる専用アプリも自社で開発した。

 今でこそオルソケラトロジー分野でトップを走る同社だが、創業当時は苦労の連続だった。

 「コンタクトや眼鏡を着けていると、思い切ってスポーツができない」。山口県内の眼科病院で臨床技術者として働いていた見川素脩(みかわ・すなお)氏(現CTO=最高技術責任者、冒頭の写真右)は、近視患者のこうした声をよく耳にしていた。そこで2000年、米レンズメーカーの矯正用レンズを並行輸入し始めた。

 しかし、レンズは欧米人向けにデザインされたもので硬く、酸素透過性も低かった。そこで見川氏は、酸素透過性と柔軟性の高い日本人向けの矯正用レンズを開発するため、2001年にユニバーサルビューを創業した。