自転車やオートバイに乗る人やスキー、登山といったアウトドア需要にも対応できる汎用性が評価されている。ワークマンは、このようなカジュアル衣料をPB商品中心に開発し、全体のPB比率を高めていきたいとしている。

 客層拡大に向けては、接客やマーケティングも強化する。今まではリピーターが多く、欲しい商品を自分だけで選んで買っていく傾向が強かった。今後、トレンドを意識した商品も売っていくためには、棚のレイアウトを工夫したり、お客に声をかけたりするようなことも重要になってくるだろう。

IT使い業務を省力化

 そこで現在、力を入れているのがITを駆使して店舗の発注業務などを、一段と省力化することだ。

 低コスト運営の要として、もともと力を入れていた分野ではあった。作業着や制服などの商品は在庫の回転が遅いが、欲しい時に絶対にないと困るものである。そのため約2年前、店頭で商品が1つ売れるとその都度、流通センターから商品を発送し、中1日で商品を補充できる「履歴発注システム」を一部商品で確立している。FCオーナーは発注作業が楽になり、パートなどの人件費節約につながる。商品が棚に並んでいないことによる販売の機会ロスも防げる。

発注業務のIT化で負担軽減
●ワークマンの商品発注システム
発注業務のIT化で負担軽減<br /><span>●ワークマンの商品発注システム</span>

 流通センターには約40日分の商品在庫がある。流通センターの在庫の動きをアルゴリズムを使って自動予測し、在庫の少なくなりそうな商品をメーカーに自動発注する仕組みもある。

 次のステップとしては、店頭の商品の販売動向を自動予測し、物流センターから自動的に商品を納品するシステムを開発中だ。来期中には完成させる予定という。

 「ITでルーティンワークを省力化し、空いた時間で接客などをしていただけるとありがたい」(土屋常務取締役)

 ワークマンの低価格を武器にした安定成長は、徹底した省力化や物流効率化が支えてきた。「おしゃれ」なカジュアル衣料など新領域に成長を求めようとする今、元来の強みを磨くことが一段と重要になる。

【INTERVIEW】
ワークマン栗山清治社長に聞く

1000店目指し、小商圏と都市を両面で攻め

 2015年度から始まった5年間の中期経営計画で、ワークマンは「社員1人当たりの時価総額の向上」を目標に掲げました。11月時点で1483億円の時価総額に対し社員数は230人ですので1人当たりに換算すると6.45億円です。これは上場している小売り・外食企業の中では1位ですが、もっと高められると思っています。

 なぜ社員1人当たり時価総額にこだわるかというと、効率経営の指標になるからです。ベイシアグループには昔から「本部は小さく」というポリシーがありました。今後も業務のIT化や簡素化を通じて無駄のない経営を目指していきたいです。

 FC店舗にも同じことが言えます。過剰在庫と機会ロスを防ぐために、商品の発注業務の自動化を目指しています。店舗での作業時間が減ると、FCオーナーの負担軽減につながりますので、空いた時間を売り上げアップに向けた別の作業に充てることができるでしょう。モチベーションも上がると思います。

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 FC加盟店の負担が減れば減るほど、店舗数も増えやすくなると思っています。現在、約750店舗ですが、今後は1000店舗を目標に出店を続けていきたいし、1300店舗も可能と見ています。

 以前に比べて商品全体に占めるカジュアル衣料の比率も高くなってきました。地方中心に人口3万~5万人の商圏で、ユニクロやしまむらが出店しない場所にも店を出していきたいですね。そういう立地では、あえてカジュアル衣料中心の品ぞろえにして、シェアを取りたいです。

 1000店の目標達成には人口10万人以上の商圏も攻めなければなりません。都市部で競争力をつけるためにも、価格の訴求力は今後も大事にしていくつもりです。うちは「ユニクロの週末値引き価格より安く」が基本です。

 加えて、差別化を図る意味でも「プロのものを皆様に」の方針を、より具体化したPB商品を開発していきたいです。機能性の高さや着心地については、作業着で色々ノウハウを培っていますから。

 カジュアル衣料の需要を取っていくと同時に、これまでの作業着もしっかりやっていくつもりです。今考えているのは法人需要取り込みの強化です。店舗の効率運営で空いた時間を使って、これまで力を入れてこなかった、法人向けの営業や受注を始めたいですね。(談)

(日経ビジネス2015年11月30日号より転載)

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