野菜と寒天をペースト状にして板海苔(のり)のようなシートに成型した「野菜のり」を開発。規格外の野菜を原料に使い、海苔の製造設備を活用するビジネスモデルで成長を目指す。

(日経ビジネス2018年1月8日号より転載)

野菜と寒天が原材料
野菜と寒天を混ぜて、厚さ0.1mmのシート状にする。野菜の風味を残しつつ、板海苔と同じような食感を実現した(写真=松隈 直樹)
生春巻きの皮のように使う(左、PICS提供)。豊富なカラーバリエーションが特徴(右)

 赤や黄、緑など色鮮やかな板海苔(のり)のような形状のシート。それが野菜と寒天を混ぜてペーストにして成型した「野菜のり」という商品だ。縦21mm×幅19mmで厚さは0.1mm。板海苔やライスペーパーのように使え、コメや野菜などを巻いて食べる。

 「これまではフランスやイタリアなど海外からの注文が多かったが、足元では日本の流通大手や食品メーカーと商談が進んでいる。使い方次第で可能性は無限に広がる」。野菜のりの製造・販売を手掛けるアイル(長崎県平戸市)社長の早田圭介氏はこう自信を見せる。

規格外の野菜を原材料に使う

 早田氏が野菜のりに取り組むきっかけは、1998年に地元の海苔メーカーが独自開発した商品に出合ったこと。規格外の野菜を原材料に使い、海苔の製造設備を使って野菜をシート状にするアイデアに衝撃を受けた。

 「健康にいいだけでなく、海苔メーカーや農家の新たな収入源になる。地方で新たな産業を創出できる可能性があると感じた」(早田氏)

 当時、早田氏は食品卸の会社を経営していたが、本業と並行して野菜のりを広めることを決意。その海苔メーカーなどと共同出資会社を立ち上げ、野菜のりの製造・販売をスタートさせた。

 しかし、当時の野菜のりは食感に問題があり、おいしいとは言えなかった。海苔と同じ製造方法で、ペースト状にした野菜を圧縮して、余分な水分を取り除き、乾燥させて厚さ1mmほどの商品に仕上げていた。こうして出来上がった商品は野菜の風味や栄養素が抜け出ておいしくなく、まるで紙を食べているような食感だった。価格も1枚50円と高く、全くと言っていいほど売れなかった。