本社 | 東京都港区芝1-15-13 芝エステービル9階 |
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資本金 | 1億6000万円 (資本準備金を含む) |
社長 | 青山 新 |
売上高 | 約5000万円 (2017年11月期予想) |
従業員数 | 12人 |
事業内容 | 外貨の回収、各種ポイントなどへの交換サービス |
●ポケットチェンジの端末の利用件数

心臓部となる情報システムや、硬貨の流路といった内部の細かい機構はポケットチェンジが設計・開発した。3Dプリンターを機構の試作や改修に活用して開発期間とコストを圧縮。高価な金型を作る必要がなくなり、事業化のハードルが下がったという。
ポケットチェンジの収益の柱は、外貨を電子マネーなどに交換する際の手数料だ。具体的な比率は明かさないが、一定の手数料を加味する形で交換レートを設定している。現金を回収してから決済するまでの為替リスクなども考慮して手数料を決めている。
青山新社長は5年ほど前からこうしたサービスの需要に着目。「余った少額の外貨の処理に困っている人が多いのに解決策が提示されておらず、チャンスを感じた」と振り返る。
当時勤務していた会社が楽天に買収されたこともあり、青山氏は2015年にポケットチェンジの設立に踏み切った。青山氏が開発など技術面を担当する一方、マッキンゼーなどでの勤務経験がある松居健太氏が営業面の責任者として共同パートナーとなり、事業運営にあたっている。
その後、グローバル化が進んで海外出張者が多い楽天の本社で16年半ばに端末を試験設置。安定的に稼働させられるかどうかを見極めた上で、羽田空港に17年2月に設置したのが実用化第1号の端末だ。実績の乏しかったポケットチェンジにとって、設置のハードルは低くなかったが、松居氏の人脈を生かして実現させたという。
羽田空港への導入で信用力が向上。他の場所への設置交渉にも弾みが付いた。設置場所と外貨の交換先となるサービスの種類の増加が成長の両輪になっている。認知度は次第に高まっており、顧客基盤は拡大基調にある。足元の利用は月に4000件を超えるペースだという。

国内で100カ所に設置余地
新たな設置先は複数の相手先と交渉中で、年内にも20台程度に増やし、18年以降は海外展開も視野に入れる。18年11月期の売上高は前年同期(予想)比で約3倍の1億5000万円を目指す。インバウンド増加も背景に、国内では主要都市の中心部なども含めて100カ所程度は設置余地があるとみている。
ちりも積もれば山となる。タンス預金のように死蔵された外貨は国内で1兆円規模に上るとされる。それが生きたお金になれば、消費の活性化にもつながるはずだ。
(寺井 伸太郎)
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