海外への出張や旅行で使い切れずに日本へ持ち帰った外貨の小額紙幣や小銭。それらを手軽に電子マネーに交換できるサービスを全国の空港などで提供して急成長する。

(日経ビジネス2017年11月27日号より転載)

外貨を手軽に交換できる
出張や旅行で使い切れなかった海外の紙幣や硬貨を端末に投入。レートに応じて、使い慣れた電子マネーなどに交換できる(写真=大槻 純一)

 昼夜を問わず混雑する羽田空港の国際線ターミナル2階。海外から帰国した人や日本を訪れる外国人が荷物を受け取って出てくる到着ロビーの一角に、大きなタッチパネルの液晶画面がついた緑色の端末がある。

 出張帰りのビジネスマンやスーツケースを引いた旅行者が次々にこの端末に立ち寄っては、紙幣や硬貨を投入していく。

 それがポケットチェンジの端末だ。海外への出張や旅行の際に余った外貨を、普段から使い慣れた電子マネーやギフトカード、クーポンなど同社が提携する約20種類のサービスの中から選んで交換できる。日本でこうした取り組みは初めてという。

外貨が余った経験、8割強

 ソニー銀行の2015年の調査では、海外で使うために両替した外貨が余った経験がある人は8割強。だが、少額の場合、日本円に戻そうと、わざわざ銀行や両替所に持ち込むのは面倒だ。しかも硬貨は、通常は両替してもらえない。そんな場合、外貨が家の片隅でずっと放置されることが少なくない。

 端末ではまず日本語、英語、中国語、韓国語から使用言語を選ぶことから始まる。次に交換したいサービスを選ぶ。日本でおなじみの対象としては、「楽天Edy」や「アマゾンギフト券」「LINEギフトコード」「WAON」などがある。

 対応通貨は米ドル、ユーロ、中国元、韓国ウォン、日本円。その時々の為替レートなどを踏まえ、投入した金額に応じて、交換可能な電子マネーなどのポイント数が表示される。そこから好みのサービスを選んで確定させる。

 顧客が外貨をどの電子マネー、ギフト券に換えるかは、それぞれの交換レートに影響される。提携先が自社のサービスに多くの顧客を誘導したい場合、交換レートを優遇して提示することもある。このような提携先の意向も反映する形で交換レートは変動する。

 ポイントの受け取り方は様々。Edyなどであれば、ICカードをかざしてチャージすることができる。ギフト券などは必要な情報が印字されたレシートを受け取り、後で自分で手続きする。平均的な交換金額は日本円換算で1500~2000円という。

 端末の利用にあたり、メールアドレスなどの個人情報を登録する必要はない。煩わしさを嫌う顧客が抵抗感なく使えるのが特長だ。平均的な金額の交換であれば、端末の操作に慣れた人なら1~2分で済むという。

 現時点で、羽田空港をはじめ、関西国際空港、新千歳空港、福岡空港のほか、関西のホテルなど全国9カ所に計12台を設置している。利用客は日本人が7~8割、インバウンドの外国人が残りを占める。

 ポケットチェンジの端末は、複雑でコストが高いATM(現金自動預け払い機)ではなく、電子マネーのチャージ機がベースになっている。投入金額・種類の判定は自動販売機などに用いられる装置を流用、筐体の板金加工は協力工場に委託してコストを抑えている。