同社の戦略上、重要だったのは価格政策をどうするかだ。90年代後半は金融機関の破綻で景気悪化が深刻になり、消費者の低価格志向は強まった。駅前にひしめく「マクドナルド」や「吉野家」などと互角に戦うため、中華そばの単価を480円(税込み、以下同)から値下げして390円で提供する低価格の大衆中華で勝負することを決断した。

 それが2002年に誕生した日高屋だった。安定成長の事業モデルについに行き着いた。「総合中華とラーメン専門店の中間。それが日高屋だ」と神田会長は話す。低価格のラーメン専業では利益を出しにくい。そこで酒のつまみにもなる、炒め物などをメニューに加えた業態だ。ただし個人経営の大衆中華のような豊富なメニューにすると、チェーン展開するうえでは、作業が増えすぎるので、品目数は限定した。駅前でのチェーン展開を目指して試行錯誤を続けてきた、神田会長のノウハウの「結晶」が日高屋という業態だ。

 同社には今でこそ駅前の物件が空くと不動産関係者から情報が舞い込むようになったが、それもここ数年の話だ。企業規模が小さく知名度もなかったころ「『油や火を使うから』とか、『他の外食が入るから』などと言われて、契約直前で断られて悔しい思いを数えきれないほどした」と神田会長は振り返る。

 日高屋は今、閉店が多いマクドナルドや牛丼チェーンなどの駅前の撤退後の物件に入居するケースが増えている。そうした大手が店を構えていた場所ならば「確実に客数は見込める」(神田会長)と、自信を示す。

 400店近くまで増えた同社の事業モデルを細かく見ると、駅前という高コストな立地でも利益を出すために、独自の経営のルールがある。

 店舗の形態は1フロア30坪で席数は約40という規模を基本とし、午前11時から明朝4時までなどと営業時間を長く設定して売り上げを稼いでいる。1つの座席が1日平均で12~13回転するので、11~12%の売上高営業利益率を安定的に得られるのだ。

 出店の際には土地は保有せず、物件の賃借契約期間を3年程度と短くしている。売り上げがよくなかった場合でもすぐ撤退し、次の場所を探す。近所で、よりいい立地があれば迷わず移る。「出店費用も数千万円と安く抑えているので、屋台のような身軽さだ」(神田会長)という。

試行錯誤で地道に店を増やした
●ハイデイ日高の店舗数の推移