
スマートフォン(スマホ)市場における利益ベースのシェアで、中国の華為技術(ファーウェイ)が米アップルに次ぐ2番手に──。
米調査会社のストラテジーアナリティクスは11月22日、今年7~9月のスマホメーカーの収益に関する調査結果を公表した。同社の分析によると、スマホメーカーが生み出した利益は世界全体で94億ドル(約1兆円)。うち91%はアップルで圧倒的だが、ファーウェイは韓国・サムスン電子を抜き2位につけた。
ファーウェイは2015年、出荷台数でも世界3位となっている。世界で1億台以上を出荷し、サムスン電子(約3億2000万台)、アップル(約2億3000万台)に次ぐ位置につけた。2014年からの伸び率は44%増と上位2社(それぞれ2%増と20%増)を上回った。
日本では2014年にSIMフリーのスマホを投入。今年5~10月はSIMフリースマホの販売台数シェアでトップに躍り出た。
多くの消費者にとってファーウェイは「スマホメーカー」だろう。だが、「世界3位のスマホメーカー」は、同社の一面でしかない。同社の祖業であり今も中核の事業は、携帯電話事業者の基地局などで稼働する通信機器だ。そのため、同社を紹介する際には、「中国の通信機器大手」といった枕詞を使うことが多い。
ただし、これも現在のファーウェイの姿を完全に表しているとは言い難い。事業領域は、通信会社以外の企業などで使われる情報通信システムの分野に拡大している。
「中国企業はやめておけ」覆す
オランダのアムステルダム。ここにスマートスタジアムの先進事例がある。同国の強豪サッカーチーム、アヤックスが本拠とする「アムステルダム・アレナ」がそれだ。ICT(情報通信技術)を駆使して様々な機能を競技場に付加している。
観客は単に試合やイベントを見るだけでなく、スタジアムに敷設されたWi-Fiにスマホからアクセスして、様々なコンテンツを入手できる。プレーをしている選手の動きなどをその場でデータ化し、分析することが可能だ。実はスマートスタジアムのサービスは観客がスタジアムに向かう途上から始まっている。市内の交通状況や過去のデータなどを分析した上で、最適な経路を知らせてくれるのだ。
スタジアムの補修や、電気や水の管理にもICTを使う。例えば芝の状況を表すデータを取得して、メンテナンスを効率化する。2020年には、2015年に比べて2割ほど費用を削減できるようになるという。
ファーウェイは2年前から、アムステルダム・アレナの主要なパートナーの一社として同スタジアムのスマート化プロジェクトに携わってきた。製品としてはルーターやストレージなどを納入している。
アレナのヘンク・ファン・ラーン最高イノベーション責任者は言う。「当初は米国の企業と話をしていた。彼らは『中国製品など使わない方がいい。米国の製品を使うべきだ』と勧めていた。だが、深?にあるファーウェイの本社に行き、技術やソリューションを提供する力が高いことに驚いた」。
アレナはサッカーの欧州選手権が開かれる2020年に向けて、さらなるスマート化を進める計画で、社内にイノベーションセンターなる組織を設け、専門の人材を置いている。そのオフィスには、他のパートナーのロゴとともにファーウェイのロゴも並ぶ。ファーウェイは、観客の利便性やスタジアム運営の効率をさらに向上させるべく、アレナのイノベーションセンターと今後も協力していく。
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