同社が産声を上げたのは日本のインターネット黎明期だった1996年。現ソフトバンクグループ社長の孫正義氏らが、ネット検索で先行していた米ヤフーとの合弁で設立した。そこからネット検索サービスやニュース配信サービスを足がかりに、国内を代表する大手ネット企業の1社に上り詰めた。

 米国で成功したビジネスモデルをいち早く日本に輸入することで先行者利益を得る。日米の時間差を利用した孫氏流の「タイムマシン経営」の先駆けが日本のヤフーだった。96年から16年間社長を務めた故・井上雅博氏の下、ネット競売の「Yahoo!オークション(ヤフオク)」や、ポータルサイト事業の強みを生かしたネット広告事業は圧倒的なシェアを握り、今なお中核事業として大きな収益を上げている。

直近はM&Aで急成長
●ヤフーの売上高と主な出来事
直近はM&Aで急成長<br />●ヤフーの売上高と主な出来事
注:決算資料を基に編集部作成。2014年度から会計基準を変更しIFRSを適用
(写真=左:ロイター/アフロ、中:読売新聞/アフロ、右:時事)
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 2012年から社長を引き継いだ宮坂社長は「爆速経営」を掲げ、スマートフォン対応を展開。天気予報からカーナビまで多様なスマホアプリで集客し、広告費や手数料収入につなげてきた。

 「パソコン中心だった自社サービスをスマホに載せ替えることで成長を続けられた。最低限の成功は果たせたのではないか。当社のサービスを月に一度以上利用する会員は約4000万人に上る」と宮坂社長は胸を張る。

 確かにパソコン全盛期に築いた資産をスマホに移植する点では一定の成果を収めた。だが、IT各社がイノベーションにしのぎを削る中、新サービスを生み出し、市場をリードできたかというと疑問符が付く。法人向けに強いネット通販のアスクルを15年に買収したことで売上高こそ伸びたが、利益率には陰りが見える。15年3月期に46.0%だった売上高営業利益率は、17年3月期に22.5%に低下した。先行投資がかさんだことも利益を圧迫したが、新たなライバルの登場によって事業領域を侵食されているのが現実だ。

 個人間取引の新手法として1999年に始め、20年近くにわたって市場をリードしてきたヤフオク。ここ数年は、流通額の伸び率が1ケタにとどまる。現在、個人間取引で盟主の座にあるのはフリマアプリのメルカリだ。

 「ヤフオクを過剰に進化させるうちに、新たな顧客ニーズへの対応が遅れてしまった」とEC事業を統括している川辺健太郎副社長は話す。ヤフオクは売り手が設定した時間内に入札の最高額を競う。ヤフーは取り引きの安全性向上を軸に機能の追加を続けてきたが、基本的な仕組みは変えずにいた。だがスマホの台頭で、オークションで時間をかけて価格を上げるより、手軽に売りたい層が若者を中心に急増した。

 新たな個人間取引ニーズをすくい取って一気に成長したのがメルカリだった。売り手が設定した価格で買い手が現れれば、即、売買成立となる。ヤフーも17年2月からメルカリと同様の機能「フリマモード」を追加したが、急成長するメルカリとの差は広がっている。

 さらに強みであるニュース配信事業でも後発が迫る。ICT総研が17年2月に実施したニュースアプリの利用率調査。「Yahoo!ニュース」は25.8%で首位だが、「LINE NEWS」も21.8%と急激に追い上げている。

今やグループ社員は1万人

 ヤフーを揺るがしかねないのは「外患」だけではない。「内憂」にも頭を悩ませている。

 「私たちは権限を持たされていないので、新しいことなんて考えられません」