スマホで家電を遠隔操作できるIoTリモコンを開発・販売する。一般消費者向けの製品でありながら法人向けに売り込む。
(日経ビジネス2017年12月4日号より転載)
「AI(人工知能)スピーカーの出荷数では、日本で1番の企業になるかもしれません」。大手賃貸不動産の幹部がそう話すベンチャー企業がグラモ(東京・豊島)だ。
グラモが開発・販売するのはインターネットに接続できる赤外線リモコン「iRemocon」だ。価格は約2万円から。スマートフォンのアプリなどを使って家の外からでも家電を操作できる、いわゆるIoT(モノのインターネット)リモコンと呼ばれるものだ。
本社 | 東京都豊島区東池袋 3-23-13池袋KSビル6階 |
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資本金 | 5億1900万円 |
社長 | 後藤 功 |
売上高 | 1億7700万円 (2017年3月期) |
従業員数 | 18人 |
事業内容 | IoTリモコンと関連システムの開発 |
●日本のHEMS市場

出所:富士経済調べ
2018年にはリモコン端末にマイクとスピーカーを取り付け、AIスピーカーとして出荷する予定だ。音声認識AIを使い、家の中では話しかけるだけで家電を操作できる。
IoTリモコンを使えば、例えば外出先からエアコンを制御して帰宅前に室温を調整したり、旅行中に照明の点灯・消灯をタイマー設定で制御して防犯に役立てたりできる。
同社の特徴はビジネスモデルにある。家庭で使う機器でありながら、一般消費者向けよりも法人向けの売上高が高いのだ。17年10月時点では売上高の9割を法人向けが占める。
不動産とのセット売り
創業者の後藤功社長はもともと、主に下請け開発をするITサービス企業のエンジニアだった。従来型携帯電話のアプリ開発を各社から一手に引き受け、各社のハードに合わせてソフトウエアを開発していた。
その技術力を生かし11年にグラモを設立。当初は家電量販店など一般消費者向けの販売チャネルでIoTリモコンを売り込んでいた。目新しい商品のため創業1年目から黒字。しかし後藤社長は「消費者向けに売り続けても先がないと感じた」と振り返る。IoTリモコンは、見た目からは何をする製品かが分かりにくい。量販店ではどんな製品かを一人ひとりに説明する必要があったという。
「まずは使ってもらわないと、利便性を実感しにくい」と感じた後藤社長は、13年に法人向け事業へ方針を転換した。マンションや戸建て住宅などの設備の一つとしてIoTリモコンを導入できるのではないかと考え、不動産各社に営業を始めた。
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