そのアンブリー社をコニカミノルタが手に入れた。産業革新機構と投じた買収資金は約900億円。その6割をコニカミノルタが負担した。同社にとって過去最大の買収案件だ。17年10月19日には買収の完了を発表。18年度からは日本でもアンブリーの持つノウハウを生かして、遺伝子検査事業に参入する方針だ。
03年に精密機器大手のコニカとミノルタが経営統合して発足したコニカミノルタ。ライバルのキヤノンや富士写真フイルム(現・富士フイルムホールディングス)、リコーの「3強」の背中を追う中で、統合を決めた経緯がある。06年にはコニカとミノルタの祖業でもある写真フィルムとカメラの事業からも撤退。複写機や複合機を中心とした事務機と光学部品に経営資源を集中して収益力を磨きつつ、医療など新規事業の立ち上げを目指してきた。
17年夏以降M&Aに1000億円
![]() ナノレベルのサイズの蛍光粒子ががん細胞に特有のたんぱく質を光らせ、場所や数を把握できる
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![]() 病院から送られてきた血液の検体から遺伝子変異の有無などを見る
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![]() 独自の造影剤と画像解析技術で体内での薬の反応を見る
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経営統合から15年目の17年、コニカミノルタが攻めに転じた。アンブリーの買収に続き、17年9月には創薬支援ベンチャーの米インヴィクロを320億円で買収することも決めた。
17年の夏以降、ざっと1000億円をつぎ込んで米2社を傘下に収めて強化するヘルスケア分野。にらむのは、遺伝情報などを利用して患者一人ひとりに最適な治療法を提供する「個別化医療」の実現だ。
事務機メーカーの発想としてはとっぴに見えなくもないが、確かな勝算はある。コニカミノルタには個別化医療時代に欠かせなくなるとみられるキーテクノロジーがあるのだ。
その名は「HSTT」。東北大学と共同開発した、たんぱく質の解析技術だ。肝となるのは、がん特有のたんぱく質に付着すると光る特殊な蛍光粒子。顕微鏡でのぞいた画像を独自のソフトウエアをかませて見れば、たんぱく質の量や位置が分かり、そこからがん細胞の数や位置などを特定できる。
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