スマホで害獣を捕獲

 エコモットは自社の持つ遠隔監視のノウハウを違う分野にも活用し、事業の多角化を進めている。土木工事現場の監視・管理などが事業の柱に成長し、続々と派生商品が生まれている。

 中でもユニークなのが、害獣対策システムだ。エコモットは技術を提供し、販売は別会社が手掛けている。

 ゆりもっと同様、このシステムは、エゾシカやイノシシ、サルなど、農産物などに被害を与える害獣の捕獲を、遠隔制御技術を応用することで可能にしている。

 害獣が出現しそうな場所に囲い込み型のワナを設け、エサで動物をおびき寄せる。檻の中に動物が入るとセンサーが働き、通信回線を通じてその映像がスマートフォンなどに転送される。設置主はスマホを見ながら、ワナの開閉ゲートを遠隔で操作する。

 これまでは害獣の捕獲はハンターによる駆除か、ワナを山間部に設置して、後日、わざわざ確認に行く必要があった。仮に捕獲できたとしても、体重200kg以上のシカを山から運び出すのは重労働で、ケガなどの危険も付きまとう。

 害獣対策としては、電流を流した電線を張り巡らし、害獣を寄せ付けない「電気柵」が普及している。だが今年夏、静岡県西伊豆町で家族連れらが感電死するという悲劇が起き、その危険性が問題視されている。同社の遠隔操作システムならば、こうしたリスクを軽減でき、確実に害獣を捕獲できる。

 農村地域の過疎化と耕作放棄地の拡大により、鳥獣の生息域拡大が進んでいる。その上、ハンターの高齢化によって狩猟人口の減少が続いており、対策が難しくなっている。

 遠隔融雪システムと同様に、害獣捕獲システムが生まれた背景には、高齢化、人手不足など日本の社会構造上の問題が横たわる。エコモットは未来の日本の姿を見据え、その問題を解決しようとしている。

(日経ビジネス2015年11月23日号より転載)