特にセキュリティー面は徹底してこだわった。利用者が登録するのは、各金融ネットサービスのサイトにアクセスするためのIDやパスワードだけ。例えば銀行の口座番号やカード番号、決済に使うワンタイムパスワードを預ける必要はない。データはすべて暗号化され、アプリには指紋認証も利用できる。こうしたセキュリティーの取り組みは専門機関の認定も受けている。

 社員約100人のうち半分以上はエンジニアやクリエーター。彼らをサービスの項目ごとに3~4人の小チームに分け、権限を委譲して高速で分析・改良を繰り返す体制にしている。辻社長は「顧客の要望に即時に対応することで、信頼性を高め続けるため」と説明する。

マイナンバー制度にも対応

 2013年後半からは企業向け有料サービス「MFクラウド」も本格的に開始。クラウド型の会計・確定申告ソフトを皮切りに、請求書の作成ソフトや給与計算ソフトを次々に投入している。

 クラウドのため、例えば給与は制度改正に伴う料率などの変更も自動的に反映。中小企業や個人事業主らユーザー数は既に47万を超えた。税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度の番号通知が今年10月に始まったのに合わせ、いち早く関連ビジネスにも参入。企業に代わり番号の収集、保管、廃棄などを担う代行サービスをIT大手の10分の1程度の料金で提供している。

 急成長に金融業界などからの熱視線も集まる。今年8月にはSBIホールディングス、静岡銀行と資本・業務提携を結び、10月には三井物産や三菱UFJ信託銀行などが総額約6億円の出資を発表した。辻社長は「フィンテックでは競合サービスもどんどん出てくるが、日々のカイゼンを積み重ねて信頼を得ていきたい」と強調する。

(日経ビジネス2015年11月9日号より転載)