連携サービスは2500以上

 スマートフォン(スマホ)向けに星の数ほどもある家計簿アプリ。競争が激化する中でマネーフォワードが選ばれる大きな特長が、使い勝手の良さと幅広い金融機関との連携だ。

 利用者は会員登録した上で、自分の銀行口座や証券口座、クレジットカードを選び、それぞれのIDやパスワードを登録する。すると、アプリが各口座と連携し、例えば給与が銀行口座に入ったり飲食店でカード払いをしたりすると、そのデータが自動的に家計簿に反映される。

 連携するのは銀行や証券会社、カード会社のほか、アマゾン・ドット・コムといった通販サイト、電子マネー、年金と様々。その数は国内最大規模の2500以上だ。現金で買い物をした場合はレシートをスマホのカメラで撮影すると、購入した商品が自動的に項目ごとに分類されて家計簿に反映される。

 こうしたデータは単に記録するだけでなく、グラフ化して「いつ、どのように、どれだけ」お金を使ったかが可視化される。節約ポイントが一目で分かることで月々の収支管理がしやすくなり、同社のユーザー調査では利用者が月に平均約1万1600円の節約を実感できているという。アプリには人工知能が組み込まれており、使えば使うほど出入金データの分析や振り分けの精度が向上するようになっている。

 利用は原則無料。月額500円の「プレミアム会員」になるとデータを1年以上さかのぼって利用したり、月次リポートを受け取ったりできる。

 創業したのは辻庸介社長だ。大学卒業後に入社したソニーからネット証券のマネックスグループに転じ、同社の松本大社長の下でネット金融のイロハを学んだ。「人々のお金に関する悩みや不安をテクノロジーで解決することで、人生をより豊かにする手助けをしたい」と感じ、2012年に独立した。

辻庸介社長は「日々のサービスの改善がユーザーの信頼につながる」と強調する

 最初のサービスは金融とSNS(交流サイト)を組み合わせ、会員が匿名で資産や金融取引などの情報を交換し合うというもの。だが、「お金は極めてパーソナルな分野で、匿名であっても情報を公開したい人はいない」(辻社長)。鳴かず飛ばずで起業の難しさを痛感した。

 そうした失敗を重ねながら開発したのがマネーフォワードだ。全自動家計簿のシステムを急ピッチで構築しつつ、証券会社時代の人脈を活用して各金融機関への協力を要請した。結局、わずか3カ月程度でサービスを作り上げてリリースにこぎつけた。

 開始後もユーザーからの要望やクレームに細かく対応してアプリを改良。「全ての利用者からの意見を分析し、毎日アップデートを繰り返した」(辻社長)。