時代の流れに対応しきれず、過去のビジネスモデルを転換できなかったTASAKI。冠婚葬祭以外の需要が見込めなかった真珠に、新しい命を吹き込んだ。 「教科書通り」ともいえるブランド再生ストーリーのきっかけは、ファンドの出資だった。

[1]長崎・九十九島の養殖基地。「病院」とも呼ばれ、挿核前、直後のあこや貝が集められる。[2]挿核したあこや貝は、網に入れられ、沖に出される。[3]あこや貝の挿核は「手術」とも呼ばれる。真珠の品質を決める最も重要な工程だ。[4]貝から取り出された直後の真珠。養殖期間が長いほど巻きが厚く輝きは深い(写真=4点:笹山 明浩)

 ここは長崎県・九十九島。佐世保から平戸にかけての海岸線に沿って、大小208もの島が連なる。映画「ラスト・サムライ」のロケ地にも選ばれた、風光明媚な場所だ。

 沖に向けて船をこぎ出せば、あちこちの海面に黒い浮きが等間隔に列を作り、並んでいる場所があることに気付く。宝飾品メーカー、TASAKI(旧田崎真珠)の真珠の養殖いかだだ。

 あちこち点在する島と、入り組んだ海岸線によって形作られる変化に富んだ地形は、潮の流れを抑え、豊富なプランクトンが集積する好条件を作り出す。この豊かな自然環境を利用して、古くよりこの地は、良質な真珠が作られる場所として知られている。「他の養殖場と比べても、明らかに貝の育ち方が違う。本当にいい真珠が取れる場所です」。見事な照りのある真珠をあこや貝から取り出しながら、養殖場のスタッフは笑顔を見せる。