帯広店が集客の目玉と位置付ける地元食材は、野菜だけではない。加工食品売り場ではベーコンや、市内の人気店が製造したジンギスカン用の味付き羊肉を販売。乳製品コーナーでは、地元の帯広畜産大学で飼育する乳牛から生産した牛乳を、同大の学生が売り場に立って販売もしていた。

 帯広店の狙いは「強みの食品にさらに磨きをかけて集客を促し、他の売り場にも客足を向かわせて店舗全体の底上げを図る」(増川明倫店長)点にある。1998年、同市中心部から現在の場所に移転した帯広店。近年は集客に苦戦し、店舗の損益は赤字だ。赤字の状況は現在も続くが、ここ2年ほどの食品売り場の強化でその額は縮小するなど、改革は徐々に成果を上げつつある。

 都市部の店舗では、別の手法で食品売り場の活性化に乗り出している。

衣料の不振、改革は道半ば

<b>帯広店は地元スーパーとの提携を生かし地域食材が豊富に並ぶ(左、右上)。アリオ柏店の鮮魚コーナーは通路にもスタッフを配し最適な献立を提案する(右下)</b>(写真=左・右上:吉田 サトル、右下:都築 雅人)
帯広店は地元スーパーとの提携を生かし地域食材が豊富に並ぶ(左、右上)。アリオ柏店の鮮魚コーナーは通路にもスタッフを配し最適な献立を提案する(右下)(写真=左・右上:吉田 サトル、右下:都築 雅人)
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 4月にオープンしたショッピングモール「セブンパークアリオ柏」(千葉県柏市)内にあるイトーヨーカドー店舗の精肉売り場を訪れると、赤い帽子をかぶったスタッフが、マイクを使って売り場の来店客に呼びかけていた。精肉に関する豊富な知識を持ち、その日の仕入れ状況を見ながら、お薦めの食材と献立を提案するスタッフだ。

 近くの鮮魚売り場では、発泡スチロールに一匹丸ごとの鮮魚が所狭く並ぶ。商品の手前、通路側にもスタッフが立ち、日ごとにお薦めの鮮魚と最適な献立を提案する。来店客と会話も弾み、その様子はまるで魚市場のようだ。

 開店から4カ月。平日、週末とも想定を上回る来店客数を記録しているが、衣料の不振が足を引っ張り、売上高は計画を下回るという。「売り場に商品を置くだけではダメ。提案など接客にも力を注がないとモノが売れない時代になっている」(セブンパークアリオ柏の佐々木光成所長)。同店では来店客とのコミュニケーションをさらに密にして、食材の購入につなげる狙いだ。

 食品では一定の成果を上げているイトーヨーカ堂。だがやはり、衣料部門は深刻な不振に陥っており、2015年度は過剰在庫が大きな問題となった。

 アリオ柏のヨーカドーでは、婦人服売り場の横にグループのコンビニコーヒー「セブンカフェ」を置いた。妻が好みの衣服を選ぶ間、夫がコーヒーを片手に子供と遊ぶ過ごし方を提案する。

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