ライフイズテックの水野雄介CEO(最高経営責任者)は「教育には出口が必要。プログラミングを生かした高校生企業家などヒーローが出てくれば、社会の目は大きく変わる」と意気込む。

 ソニー生命保険が4月に発表した調査では男子中学生のなりたい職業として、「ITエンジニア・プログラマー」が1位に選ばれた。ネット経由の調査のため、上位には「ゲームクリエイター」や「YouTuber」などITを駆使した業種が並ぶとはいえ、かつての「オタク」のイメージは払拭されつつある。

 ITが社会に深く入り込み、あらゆる仕事にITがかかわる時代。AIなど新技術が次々に生まれる中ではIT人材の層の厚みが今後の日本の産業競争力を左右する。小学校でのプログラミング必修化という追い風を一過性のブームに終わらせないためにも、参入企業は腰を据えて取り組む覚悟が問われることになりそうだ。

INTERVIEW
小金井市立前原小学校 松田 孝 校長に聞く
プログラミングで学校教育を変えたい
小金井市立前原小学校では松田孝校長(下)の号令の下、全学年でのプログラミング教育を展開(写真=松田氏:北山 宏一)

 前原小学校では私が校長として着任した2016年度からプログラミング授業を始めました。授業のテーマを比較的自由に決められる「総合的な学習の時間」を利用して取り入れました。この時間は年70コマ(時間)割り当てられていて、私が着任した時点ですでにその内容も決まっていました。学級担任を説得し、20コマをプログラミングに変えてもらってのスタートでした。

 17年度は2年生から6年生の児童を対象に計35コマに増やしています。これで週1コマのペースで授業ができます。1年生も2学期から始めます。授業内容は、基本はタブレット上での「ビジュアルプログラミング」です。上級生にはノートパソコンを使ったタイピングにも挑戦してもらっています。

 単にプログラミングのスキルを身につけるのが目的ではありません。プログラミングを通じてITの本質を学んでもらいたい。だから、学年ごとに「コンピューターとは何か」「アルゴリズムとは何か」といったテーマを設けて、基本から学んでもらっています。

 児童にプログラミングを教えているのは学級担任たちです。国語や算数、音楽や図画工作など、通常の教科授業にもプログラミングの要素を取り入れてもらっています。

 プログラミング教育に力を入れるのは、私自身が、児童の学んでいる姿勢にいつも感銘を受けているからです。前任の学校でも児童1人に1台ずつiPadを配布するなどしてIT教育に取り組んできました。児童はIT機器を活用すれば、普段の授業よりも生き生きと、集中して学びに取り組んでくれる。そう実感し、当校でプログラミング授業として発展させることにしました。

 教師はプログラミング未経験者ばかりで当初は戸惑う声もありました。それでもプログラミングを通じて児童が成長していくさまを見るうちに、積極的に取り組むようになってきています。「素人に教えられるのか」と思われているかもしれませんが、大事なのはプログラミングの知識を教えることではなく、学びの場を開くことではないでしょうか。小学校だからこそ、児童一人ひとりを知り尽くした担任が、やるべきことだと思っています。

 来年度には、ぜひ年間100コマのプログラミング授業を実施したい。小学校の1年間の総授業数は約1000コマ。その10分の1でプログラミング授業を実践できれば、旧態依然とした小学校の教育も変わると信じています。

(談)