市場拡大に高まる期待

 今後の市場成長への期待は高い。「昨年度で10億円程度」(CA Tech Kidsの上野社長)だが、「数百億円規模まで拡大する」(Z会の草郷事業部長)と見る向きもある。学習塾・予備校(約1兆円)やスポーツ教室(約6500億円)、外国語教室(約3100億円)に比べると小さいとはいえ、少子化の中にあっては数少ない有望市場と言えなくもない。

 過熱気味の競争の中で、いかに事業として成り立たせるか。各社は知恵を絞る。

 先行するCA Tech Kidsは「生徒1人当たりの教育の質を高めることで、他社との差異化を図っていく」(上野社長)構え。通常の教室では隔週のコースを廃止し、毎週開催のコースのみに変更。夏に開催していた短期教室の募集人数は昨年の1600人から10分の1以下となる150人に絞り込んだ。

 教育ベンチャーのLITALICOはあえてカリキュラムに柔軟性を持たせることで個性を伸ばせる環境をアピールする。小学生向けには決められた指示内容を組み合わせる「ビジュアルプログラミング」が主流だが、意欲的な生徒には英語の文字列である「コード」を打ち込む通常のプログラミングも教えていく。同社は発達障害の教育支援を手掛けており、生徒一人ひとりの個性を伸ばすノウハウを生かした格好だ。

 新規参入のZ会が狙うのは「地方」だ。小学生向けのプログラミング教室は首都圏や関西が中心。「教室では数十人集めないと事業として成り立ちにくいが、確実にニーズはある」(Z会の草郷事業部長)とし、通信教育の販路を生かして地方での需要喚起を狙う。

市民権を得るには課題も多い

 盛り上がるプログラミング教育だが、より市民権を得るには乗り越えるべき壁もある。一つが価格。プログラミング教室の多くは月額1万~2万円と水泳や英会話に比べて高額だ。

 もう一つが「コード」の壁だ。「ビジュアルプログラミング」では楽しめたのに、コードを書く高度なプログラミングで拒否反応を起こす生徒は多い。「教材の改善は必要だ」とZ会の草郷事業部長は指摘する。水泳などと比較して指導者の成り手が少ないことも、各社の悩みの種となる。

ライフイズテックは毎年、中高生を対象にスマホ向けアプリのコンテスト「アプリ甲子園」を開催しスター発掘を進める

 さらに関係者は子供たちの憧れとなるような存在がいないことも課題として挙げる。つまりスターの不在だ。CA Tech Kidsの上野社長は「プログラミングというジャンルが子供たちから市民権を得るにはテニスの錦織圭選手や将棋の藤井聡太四段のような存在が不可欠」と説く。

 そんなスターの育成に動く企業も出てきた。中高生向けにプログラミング教育を手掛けるライフイズテックだ。同社はネット広告のD2Cと共同で毎年、中高生を対象にスマートフォン向けアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園」を開催。6回目の開催となった前回は1000件を超える応募があり、業界での認知度は高まりつつある。