タブレットに通訳が“常駐”

 ボイストラで使われている多言語翻訳技術と独自の技術を組み合わせ、より接客業に特化したのがNTTドコモの「はなして翻訳 for Biz」だ。スマホなどに専用アプリをインストールして利用する。今年6月からカジュアル衣料専門店ライトオンの都内3店舗に導入された。「免税を受けられる金額が5000円に下がってから、外国からのお客様が増えたので助かっています」と池袋店のスタッフ、坂本美緒氏は話す。

 同店の場合、訪れる外国人は台湾からの客が多い。英語なら会話できるスタッフでも、台湾の言葉にはなじみが薄い。買い物代金が免税額を超えているか確認を求められた時などに重宝しているという。7月から、無印良品の数十店舗でも順次利用が始まっている。

言葉の壁をITで越える
●LINEの翻訳アプリとNECの通訳サービス
言葉の壁をITで越える<br />●LINEの翻訳アプリとNECの通訳サービス
東京・浅草のお好み焼き店「浅草 つる次郎」では外国人客とのコミュニケーションに「LINE英語通訳」を活用(写真の左側が浜田圭二店長)。

 使い慣れたアプリも外国語対応していると便利だ。東京・浅草のお好み焼き店「浅草 つる次郎」ではLINEの通訳機能を必要に応じて使っている。友人同士のチャットと同じように、日本語を入力すると外国語に翻訳して表示される。使い方を新たに覚えなくても、外国人客と必要なコミュニケーションが取れるので便利だ。

 つる次郎ではウェブサイトやメニューも英語・中国語(簡体字と繁体字)・韓国語の4言語に翻訳している。ぐるなびが提供する「ぐるなび外国語版」を活用した。メニュー名を日本語で選択すれば、4言語に自動で翻訳してくれる。今では、1日に外国人客が5~10組来るようになった。

<b>NECが提供する「通訳クラウドサービス」の利用例。日本人と外国人がそれぞれ画面上の通訳に話しかければ、意思が疎通できる</b>(写真=新関 雅士)
NECが提供する「通訳クラウドサービス」の利用例。日本人と外国人がそれぞれ画面上の通訳に話しかければ、意思が疎通できる(写真=新関 雅士)

 遠隔地にいる通訳を呼び出し、外国人とコミュニケーションできるサービスも登場した。沖縄県浦添市にある浦添総合病院では、NECが提供する「通訳クラウドサービス」を2014年12月に導入した。

 最大のメリットは「通訳の顔が見える安心感にある」(同病院のシステム管理課、上野孝生課長)。外国人患者が同院を訪れた際には、受け付けのスタッフや看護師がタブレットに映し出された通訳を介しながら容体や服用してはいけない薬の有無を尋ねている。

 NECのサービスは現在、英語や中国語など5カ国語に対応している。料金は月間の利用頻度などによって変わってくるが、例えば病院には月額9万円から提供している。語学が堪能なスタッフを雇うよりもはるかにコストが低い。また24時間いつでも利用できるため、約100の法人や自治体がNECと契約している。今後3年で契約数を10倍に増やすことが当面の目標だ。

 外国人観光客に大きなストレスを与えるものの一つが、土産品を購入する際に免税手続きに時間がかかることだ。そこで、バーコードなどの自動認識を手掛けるサトーホールディングスではパスポートを自動で読み取り、免税用の書類作成を大幅に短縮するシステムを販売している。

 免税手続きのため手書きでパスポートの内容を書き写す場合、1人平均8分かかる。団体客が免税手続きをするとレジ前が大混雑に陥ってしまう。しかし、同システムを利用すれば、免税手続きが1人2分にまで短縮できる。

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