基本的には本業の稼ぐ力を示すもので、今年7月、英国の半導体設計会社、アーム・ホールディングスを3兆3000億円で買収することを決めた際に孫正義社長は、これを使って投資家に財務の「健全性」をアピールし続けた。アーム買収で純有利子負債は調整後EBITDAの4.4倍になるが、2006年にボーダフォン日本法人を買収した直後、6.2倍に達した時期に比べれば、まだ余裕があるというわけだ。

独自の損益項目が並ぶ
●ソフトバンクグループと日立製作所の決算短信
「受取利息及び支払利息調整後税引前利益(EBIT)」「調整後EBITDA」など、独特の経営指標で社内外にアピールする。上は、孫正義・ソフトバンクグループ社長(写真=的野 弘路)

決算期、システム…全て一体化

 今回は悪化したが、調整後EBITDAを積み上げ、負債を減らせば、財務体質が改善することを内外に分かりやすく示している点で経営力の高さを見せつけたとも言えそうだ。

業績は再び上昇軌道に乗ってきた
●花王の業績推移
注:2012年12月期は、決算期変更による9カ月決算

 そして、もう一つIFRSを使う企業が重視するのが、「グローバルな経営管理体制を強化すること」(有限責任あずさ監査法人パートナーの宮原正弘・公認会計士)。例えば花王は2010年からじっくりと仕組みを作り上げてきた。2012年には、3月期決算だった本社が、海外子会社に合わせる形で12月期に変更。2013年には設備などの減価償却の方法もIFRSで主に用いられる定額法(毎年一定額を償却する方法)に統一し、その他の会計処理方針もほぼ一体にした。そのために製造設備の耐用年数まで世界でそろえるほど徹底した。

(写真=北山 宏一)

 そして、2014年には統合業務システムも世界で一体化。ここまで会計の仕組みを世界で整えた上で、今期からIFRSの適用に踏み切った。

 これによって、世界のグループ企業の隅々まで財務状況や変化を素早く把握できるようになった。「アジアのある会社が、精査すると設備の耐用年数を長くしていたことで利益が高くなっていることが分かったりした」(青木和義・執行役員)。その会社ではすぐに、生産の合理化に取り組み、製品価格も上げて利益を確保するように改革したという。IFRSの適用に合わせて仕組みを一体化したからこそできたことだ。