SBSホールディングス

創業は企業向け即配 トラック版ウーバー開発

 アマゾンが年に1度の特売セール「プライムデー」を実施した7月11日。東京・枝川のプライムナウ専用の配送拠点を訪れると、「関東即配」と記された折りたたみコンテナに荷物を入れて運ぶドライバーの姿があった。関東即配とは、SBSホールディングス(HD)の鎌田正彦社長(58歳)が1987年に設立した会社。現在はSBS即配サポートに社名を変え、首都圏で主に企業間の小口荷物の当日配送を手掛けている。

 SBSHDの鎌田社長も「アマゾンについては話せない」と前置きをした上で、企業間物流に加えて消費者向けの宅配事業を強化すると語る。6月15日以降、自らSBS即配サポートの社長も兼務しているのは、そのためだ。開業資金はないが働きたいという人に対して、車両を貸し出すなどして個人事業主としての独立を支援、現在約600台のトラックを2018〜19年までに1000台程度に増やす方針だ。

 今秋からは、鎌田社長が“トラック版ウーバー(Uber)”と位置付ける新サービスも開始する。「カスピアン・プロジェクト」と名付けた、運送会社がトラックを相互に融通し合うためのマッチング事業だ。料金の詳細は今後詰めるが、まず、ドライバーに専用アプリを搭載したスマートフォンを、通話・通信料込みで月額3000円弱で提供。運送会社はトラックの運行管理システムを無料で使える。年末をめどに荷主も呼び込む。

 運送会社が、トラックの配送ルートや時間、積載率を入力すると、委託先を探している他の運送会社と自動的にマッチングされるようになる。SBSHDが運賃の決済を代行し、一時的に立替払いをすることで、中小運送会社の資金繰りを改善する計画もある。SBSHDはマッチングが成立した際に数%の手数料を得たい考えで、10万台のトラックの登録を目指す。

 鎌田社長はカスピアンを、拡大し続ける宅配需要と人手不足に対するソリューションと位置付ける。「日本中で不足するトラックを囲い込むのではなく、オープンにシェアし合う時代が必ず来る」と鎌田社長は話す。

INTERVIEW
SBSホールディングス 鎌田正彦社長に聞く
EC事業者などの切実な要請に応えたい
(写真=陶山 勉)

 私は今から30年以上前、佐川急便でドライバーをしていましたが、当時と比べて人手不足が深刻なのは間違いありません。根本的な原因の一つは、物流業界の給料が安いことです。昔は年収800万~1000万円程度でしたが、今では500万円もなかなか払えない。長時間労働ができなくなったうえに、価格競争で運賃が大幅に下がった。今回のヤマト運輸の動きは、こうした状況に一石を投じると思います。

 その一方で、宅配の2極であるヤマトや佐川が値上げをするような状況になって、我々にいろいろな会社から切実な依頼が来ています。今は首都圏しか対応できませんが、何とかその要望に応えたいという気持ちがあります。

 人が採り難く苦しいのは我々も同じです。ただ、主婦や高齢者など、働きたいという人たちはいます。そういう人たちを個人事業主として仕事ができるよう支援します。

 私はもともと、企業間で朝預かった荷物をその日の夕方に、夜預かった荷物を翌朝に届ける関東即配という会社を作りました。企業間なら、行ってみたら不在だったということは、まずないですから。逆に言えば、それだけ消費者向けの宅配は難しいわけです。宅配の分野でヤマトの圧倒的な地位は、これからも変わらないでしょう。

 我々は、今後の成長分野として大型の物流センターを作り、配送までを全国で展開できるような事業を主軸に置くつもりです。業界全体では佐川(SGホールディングス)と日立物流が資本業務提携するなど、再編機運が高まっています。我々も、メーカーの物流子会社を買収するなどして、規模の戦いに勝てるようにしていく方針です。現在の売上高は1500億円程度ですが、2000億~3000億円まで引き上げたい。チャンスはかなり出てきています。(談)