庫内作業でも人材不足は深刻だが、榎屋社長は「前身が人材派遣会社でノウハウがあるので一般の物流会社より人を集められる」と言う。庫内作業については営業所が5拠点、事業所が11拠点あるが、それぞれ地元の人材を活用している。

 そして今、力を入れているのが宅配事業だ。東京都内に営業所を設け、軽車両20台でアマゾンの宅配を請け負っている。プライムナウの1時間配送を実現するには、効率の良い仕分けが不可欠で、ファイズは宅配でもその強みを生かしている。

 さらに今年度から、ある外資系物流会社の荷物の集配を首都圏で始めた。榎屋社長は「出来上がったインフラの代替需要もあるが、その仕事は価格競争で疲弊する。新しい需要を生み出す顧客と組んで新たな価値を提供していきたい」と話す。

INTERVIEW
ファイズ 榎屋幸生社長に聞く
人材派遣業で培ったノウハウを物流に生かす
(写真=的野 弘路)

 もともと人材派遣会社として、大手運送会社などに人を派遣していました。そのつながりから、物流部門を強化して2013年の独立まで至りました。物流センターの庫内作業など労働集約的な業務が、得意な分野です。創業当時からIPO(新規株式公開)を計画しており、17年に上場したのはスケジュール通りでした。

 物流センターの庫内業務は、できるだけ内製化しています。継続的に成長するためには、労働力を外注せず、社員を安定雇用してノウハウを蓄積する必要があるからです。私自身が一スタッフとして働いていたので、作業者の思いは分かっているつもりです。作業者が一日でも長く勤めてこの会社に来て良かったと思えるように日々工夫を重ねています。例えば友人紹介システムやスタッフ向けのバースデープレゼントなどを導入しています。

 宅配業務と庫内業務はシナジーがあります。庫内業務や幹線輸送のチームから選抜された人が、宅配業務を担っています。物流センターから宅配までを一貫して請け負うことで、各機能間の連携が取りやすくなり、効率をさらに高められます。

 宅配事業に関しては、今年に入ってから様々な顧客から声がかかっており、柱となる事業の一つにしたい。今後もネット通販の利用率が高まり、宅配事業のニーズはますます旺盛になっていくでしょう。

 今は新しい宅配インフラを構築する過程なので、ご意見を伺いながら前に進んでいます。宅配問題の報道が増えてから、玄関先でお客さんの対応が変わってきました。現場のドライバーは玄関先でお客さんから「ありがとう」と言ってもらえることが活力になっています。ネット通販の急速な需要の拡大に後れを取らないように、現場のサービスレベルの向上にも努めていきます。(談)

ファイズ
設立 2013年 社長 榎屋幸生  売上高 52億1500万円(2017年3月期) 営業利益 3億4500万円(同)

特徴
  • アマゾン向け庫内作業受託で急成長
  • 「プライムナウ」の配送も受託
  • 2017年3月に東証マザーズ上場