ヤマト運輸が、当日配送を縮小・撤退する方向で荷主と交渉を進めている。一方、最大荷主のアマゾンジャパンは、当日や1時間以内といったスピード配送を追求。その動きを商機ととらえる新興勢力が台頭しているが、持続性に危うさもある。(日経ビジネス2017年7月24日号 46~50ページより転載)

東京・尾山台の「アマゾン プライムナウ」の配送拠点

 7月上旬、東京・尾山台のアマゾンジャパンの配送センターでは、様々な会社のロゴが入った軽車両が出入りしていた。ここは同社が有料の「アマゾンプライム」の会員向けに、最短1時間以内というスピード配送を提供する「プライムナウ」の専用拠点だ。ここから荷物を運んでいるのは、宅配最大手ヤマト運輸ではない。アマゾンが独自に委託する地域限定の配送業者だ。

 近所に住む初老の男性は、「春にヤマトが当日配送を見直す話が報道された頃から、クルマの動きが活発になっているようだ」と話す。

東京・枝川のプライムナウの配送拠点では、ドライバーがせわしなく軽車両に荷物を積み込んでいた

 ネット通販における宅配の担い手に変化が起きている。発端は「ヤマトショック」だ。ネット通販の急拡大に加えて当日配送のニーズが高まり、ヤマトの宅配ドライバーの負荷が増大。そこに人手不足が追い打ちをかけ、サービス残業の常態化が明らかになった。それを受けてヤマトは構造改革に着手。荷物の取扱量を制限すると同時に、当日配送を縮小している。

生鮮食品販売の「アマゾンフレッシュ」の荷物も見える

 だが、ヤマト最大の荷主であるアマゾンは依然として、当日配送を含むスピード配送を強化する構えを崩していない。その象徴が2015年11月に開始したプライムナウだ。今年6月には都内で4つ目の配送拠点を開設。23区に加えて武蔵野市や三鷹市などにもサービス地域を拡大した。既に、東京以外でも、大阪、神奈川などプライム会員が多い地域から対象を広げている。

アマゾンの当日配送や 「プライムナウ」を担う 主なデリバリープロバイダ

 Prime Now事業部の永妻玲子事業部長は、「今すぐ欲しいというだけではなく、確実に商品を受け取りたいというニーズが多い」と説明する。利用者は、朝8時(一部地域では朝6時)から夜12時まで1時間以内に商品を受け取れる。出勤前や帰宅後など、確実に家にいる時に荷物を受け取りやすい。話題の書籍やゲームソフトの発売日には、午前0時の解禁直後に商品を手に入れたいというニーズもあり、配送時間を午前2時まで延長することもある。

 こうしたスピード配送を担うのは、ヤマト以外の新興勢力だ。アマゾンはウェブサイトで地域限定の配送業者を「デリバリープロバイダ」として、丸和運輸機関やファイズ、SBS即配サポートなどの名前を挙げている。