アジアで作り西の世界へ

 「これはロシア向け。あちらは英国向け。香港向けはこちら」──。現場の責任者が得意げに指で示す。

経済の中心地、コロンボ港近くのマーケット。外資企業の看板が目に入る
経済の中心地、コロンボ港近くのマーケット。外資企業の看板が目に入る

 スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)や米ギャップ(GAP)など世界の名だたるファストファッションメーカーは、バングラデシュやミャンマー、ベトナム、インドネシアといったアジア諸国に生産拠点を持つ。そこで作った衣料をコロンボ港に集め、消費地ごとに仕分けし、タグを付けて出荷する。スリランカで行う作業はタグ付けにとどまらない。検針やアイロンがけといった細かい作業も手掛ける。

 「世界のファストファッションブランドの7割が顧客。その多くから3PLの依頼が来ている」。スリランカ最大の物流会社エクスポランカホールディングスのハリフ・ユスーフグループCEO(最高経営責任者)は意気軒高だ。「ここ数年、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国からアフリカや欧州への輸出が増えてきた。その流れのハブとなるスリランカで当社は中核の役割を担っている」。

 同社はスリランカを中心に、アジアと中東・アフリカ・欧州を結ぶ物流を手掛けている。1978年にスリランカで創業。92年にバングラデシュへ進出したのを皮切りに海外展開を開始。現在は世界20の国と地域に59の拠点を持つ国際物流企業に成長した。

佐川、未踏の物流網を獲得

エクスポランカホールディングスのハリフ・ユスーフグループCEO
エクスポランカホールディングスのハリフ・ユスーフグループCEO

 スリランカを中心にインド洋一帯に物流網を張り巡らせるエクスポランカ。実は同社は、日系企業の傘下にある。佐川急便の持ち株会社であるSGホールディングスが2014年に約80億円を出資し、株式の過半を取得。現在は67%を保有している。

 「エクスポランカはほかのどの企業も持っていない独自の物流網を持っている。この物流網を利用すれば、我が社の顧客に中東やアフリカへの新たな物流を提案できる」(SGホールディングスの鹿島学グローバル事業戦略部ジェネラルマネジャー)。

 アジアから西へ──。衣料を中心に、こうしたビジネスが高まりを見せている。従来であれば「門外漢」として手放していた需要を、佐川急便はエクスポランカを通じてつかもうとしている。

 コロンボ港は、成長著しい巨大市場であるインドの表玄関としての役割も高めている。

 インドの実質GDP(国内総生産)成長率は2015年に7.3%。国際通貨基金(IMF)の予想では今年も7.5%と高成長が続く。13億人を超える人口を抱えて経済発展を続ける大国では、海外とのモノのやり取りが必然的に拡大する。

 だが、インドの主要港は水深が10m以下のものが多く、大型コンテナ船を停泊させるのが難しい。このため、水深が15mと深いコロンボ港に大型コンテナ船を停泊させ、フィーダー船と呼ばれる小型船に貨物を積み替えてインドの港に運んでいる。コロンボ港が取り扱う貨物の7割が積み替え需要で、そのほとんどがインド向けだ。

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