アジアと中東、アフリカを結ぶハブとして、スリランカ・コロンボ港に注目が集まる。インドや、より西方の市場を攻略する橋頭堡としての魅力に富む。2009年に内戦が終結。復興に伴うインフラ投資がビジネスチャンスとなる。

アジアとアフリカ、中東をつなぐハブに
●スリランカと周辺の地図
<span style="color:#941d3d;">アジアとアフリカ、中東をつなぐハブに<br/>●スリランカと周辺の地図<span>
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 インド南端のすぐ東側に、一般的な日本人はほとんど意識することのない国がある。スリランカだ。面積は北海道の8割ほど、人口は2067万人。市場としての魅力は、お隣のインド(人口13億人)と比ぶべくもない。だが今、日本や欧州の企業がこの国に注目し始めている。その魅力の源は「物流ハブ」として成長するコロンボ港と比較的低賃金の労働力だ。

 世界地図を開くと、この港が持つ優位性は一目瞭然だ。北には、インドはもちろん、バングラデシュ(同1億6000万人)やパキスタン(同1億9000万人)などの人口大国が並ぶ。東に目を向けると、域内総生産が約2兆5000億ドル(約260兆円)の統一市場「ASEAN経済共同体(AEC)」を発足させた東南アジアの国々が。西に転じれば中東やアフリカの国々がすぐそこにある。海運のハブとして最適の位置と言える。

南アジアで最大のコンテナ取扱量を誇る コロンボ港。さらなる拡張工事が続く
南アジアで最大のコンテナ取扱量を誇る コロンボ港。さらなる拡張工事が続く

 コロンボ港のコンテナ取扱量は2015年、前年比5.9%拡大し、500万TEU(貨物取扱量の単位。1TEU=20フィートコンテナ1個分)を超えた。伸び率はアジアでトップクラス、規模は南アジアで最大。東京港をも超える存在になっている(下の表「●アジアの主な港のコンテナ取扱量」参照)。

南アジアで最大、伸び率もトップクラス
●アジアの主な港のコンテナ取扱量
港名(国) 2014年 2015年 増減率(%)
上海(中国) 3529 3650 3.4
シンガポール 3387 3090 -8.8
香港(中国) 2223 2011 -9.5
釜山(韓国) 1868 1940 3.9
クラン(マレーシア) 1095 1189 8.6
レムチャバン(タイ) 658 682 3.6
コロンボ(スリランカ) 491 520 5.9
東京(日本) 490 463 -5.5
ジャワハルラル・ネルー(インド) 447 448 0.2
注:単位は万TEU(貨物取扱量の単位で、1TEU=20フィートコンテナ1個分を示す)
出所:「Containerisation International Top 100 Container Ports」、各港の発表などから作成
コロンボにあるエクスポランカの倉庫では、アジアで製造されて運ばれてきた衣料に作業員がタグを付ける(左)。欧米やアジア、中東など、様々な輸出先のラベルが並ぶ(右)。
コロンボにあるエクスポランカの倉庫では、アジアで製造されて運ばれてきた衣料に作業員がタグを付ける(左)。欧米やアジア、中東など、様々な輸出先のラベルが並ぶ(右)。