仕事を撹乱し邪魔をする存在

 ところが高齢化が進み、日本企業の組織は48ページの中央の形に移行した。40代以上が膨れ上がった結果、企業の活力の源泉であるピラミッドは大きく縮小。日本の現場力が低下しているのは無理もない話なのだ。

 現状では、ピラミッドからはみ出したミドルたちは、取って付けたような肩書を与えられ、生産性の低い作業に従事せざるを得ないのが実情。中国ハイアールに買収された旧三洋電機(アクア)で社長を務めた伊藤嘉明氏は「成長が鈍い企業ほど、ピラミッドの外に人があふれている。彼らこそ、仕事を撹乱し、邪魔ばかりする存在」と指摘する。

 そうした状況を改善し、日本企業の現場力を再生する方法は1つ。はみ出したミドルたちを再びピラミッドに組み込むしかない。それが48ページの右の図だ。見ての通り、この「高齢化国家における理想的な企業ピラミッド」では随所で、上司と部下の逆転人事が避けられない。

 「一向に構わない。むしろそれこそが、多くのミドルの最適解」。北海道恵庭市に本社を置く電気設備メーカー、ハイテックシステム(酒井智社長)の技術営業部でマーケティング担当部長を務める瀧川憲氏(64歳)はこう話す。

 30年以上横河電機の保守部門で働き、部長職を長くこなしてきたが、4年前に部長代理への降格を打診され転職を決意。現在は親子ほど年の離れた専務の酒井裕司氏(41歳)の下、新規事業の立ち上げに挑んでいる。

 「『あの人は何をやっているのか』と言われながら、会社に長くいるだけの補佐的仕事はしたくない。最後まで最前線に立ち続けるのが自分の理想。そのためには上司との年次逆転なんてさまつなこと」。瀧川氏はこう話す。

 同社は今、パナソニックやNTTなど大企業から瀧川氏のような、“意欲ある年上部下”を積極的に採用している。

ピラミッドの縮小が現場力低下の真の原因
●日本企業の組織と人員構成のイメージ
環境変化に対応し成長し続けるためのベストな形。健全な企業ほど、年序列のピラミッドとなる
環境変化に対応し成長し続けるためのベストな形。健全な企業ほど、年序列のピラミッドとなる
40代以上が増え、ピラミッドの外に多くの社員がはみ出した状態。ピラミッドは大きく縮小している
40代以上が増え、ピラミッドの外に多くの社員がはみ出した状態。ピラミッドは大きく縮小している
はみ出した社員を再びピラミッドに組み込んだ状態。ピラミッドの大きさは回復するが、随所に年下上司が出現する
はみ出した社員を再びピラミッドに組み込んだ状態。ピラミッドの大きさは回復するが、随所に年下上司が出現する