高品質サービスで 正当な対価もらう

大和証券グループ本社社長CEO 中田 誠司氏
新規設定のテーマ型ファンドが売れる
●大和証券 2017年4月の月次販売ランキング
注:販売手数料は最大の場合

 野村証券と並んで日本の投資信託市場を開拓してきた大和証券グループ本社。2017年4月から同社を率いる中田誠司社長CEO(最高経営責任者)はどのように顧客本位の運営を目指してきたのか。

 「貯蓄から投資」と言いながら長年進まなかったのは厳然たる事実です。これは顧客本位の姿勢ができていなかったことだけが理由ではないと思います。(株式相場の上昇基調が続いていた)米国と比べ、日本では得られるリターンが低く、長い間日本の投資家は成功体験が得にくかったからです。

 長く続いたデフレ経済の中では、お金は投資せずに持ち続けている方がよかった。今はデフレから脱却したと断言できる段階ではありませんが、徐々にそういう動きが出てきています。自然体で貯蓄から投資へのマネーシフトがある程度起きる環境になったと見ています。受け手である証券会社が、顧客本位の業務姿勢をきちんととれば、新しい投資家に入ってきていただく流れをさらに加速できるはずです。

 官民挙げてデフレからの脱却に取り組んでいる今こそ、顧客本位の業務姿勢という原則を自問自答し、自ら改善するきっかけとしたいと思っています。

 重要なのは顧客本位をどこまで現場に徹底できるかだ。この点について、具体的な改革を始めたという。

 この4月に営業のやり方を180度変えました。今までは本部が全支店に対し「今月は投資信託をいくら販売する」といったように商品ごとに目標を決めていました。支店からすると、月初には販売すべき商品がおのずと決まっていたということです。

 これを、毎月どの商品をいくら売るかは支店が自分で考えるように改めました。収支の予算、預かり資産の増加額、投信の運用報酬などの安定収益の3つは本部が指示していますが、それをどういう商品で達成するかは支店に任せている。

 始めたばかりなので支店ごとに取り組みレベルに違いはありますが、マーケットの動きと顧客ニーズの変化に合わせて機動的な対応ができるようになりました。売る側の都合ではなく顧客の立場で行動するよう促しています。

「安い=顧客本位」ではない

 投信の手数料や信託報酬が高すぎるという金融庁の批判に対しては、安ければいいとは限らないと主張する。

 これまでの報道で金融庁の本意が全て表されているとは思っていません。日本の投信の手数料は高いと言われますが、米国の株価指数連動型の投信などを除いた手数料は、日本とそう違いはありません。また、米国では確定拠出年金の普及で、手数料の低い株価指数連動型の投信の規模が大きくなりました。20兆円を超えるファンドも出てきて、投信全体で見た平均手数料を引き下げました。日本とは単純に比較できないと思います。

 我々が重視しているのは、ニーズが高まっているコンサルティングです。世界の政治経済が目まぐるしく変化する中で、1人の投資家が全部コントロールして判断するのは難しい。米国でも金融危機以降、コンサルティングを求める顧客が増えています。

 (複数の投信をまとめて専門家が運用する)ファンドラップのように一定の手数料がかかっても、プロがグローバルにリスク管理しながら運用し、顧客と定期的に対話するようなニーズはさらに高まると思います。質の高いサービスを提供できるなら、正当な対価はきちんといただくべきです。とにかく手数料を安くすれば、顧客本位になるわけでは決してありません。