2大トップ、「投信営業、こう変える」

新商品、乱発せず 評価制度見直した

野村証券社長 森田 敏夫氏
毎月分配型投信も上位に
●野村証券 2017年4月の月次販売ランキング
注:販売手数料は最大の場合

 森長官は投信販売は顧客に向き合っていないと痛烈に批判した。これに対して業界最大手、野村証券の森田敏夫社長は2012年から考え方を抜本的に変えてきたと主張する。

 12年8月に野村証券の経営は新体制になりました。その時に掲げたのがお客様本位のビジネス。根底に流れるのは金融庁の言うフィデューシャリー・デューティーそのものといえます。

 高齢化社会が到来し、顧客ニーズが変化しました。長寿化に伴いお金の面で年金受給や相続など様々な不安が出てきます。こうしたことは信頼されないと相談してもらえないわけです。

 かつては相場を見ながら電話で顧客の取引を仲介すればよかったわけですが、今は顧客が何を求めているかを最優先で考えねばなりません。全員の行動が変わったかと言われると、断言はできませんが、行動を見直した社員が増えていることは確かです。

 社員の考えを改めるため、すでに営業の評価軸を変えました。かつては売買手数料を重視していましたが、現在はより多くの顧客から資産を預けていただき、それをどれだけ増やせたかを重視しています。社員の在任期間も以前の3年から5年に延ばし、より長期のトレンドをきちんと見ています。

 森長官は、投信の本数が多すぎること、毎月分配型投信の販売に力を入れてきたことなども問題視してきた。

 商品数は相当減っています。これは私が営業のトップだった時に議論して変えてきました。時代が変わるような局面でのテーマ型投信についてまで否定はしませんが、旬のテーマの商品を出せば、乗り換えさせる営業になりがちです。社内で反対がありましたが、「我々が目指している方向はそうではない」と言って、テーマ型を乱発しないようにしました。

顧客の要望には逆らえない

 毎月分配型については当社としても重要な問題ととらえ、各運用会社と議論をしています。ただ、顧客に分配金が欲しいというニーズもあるのは事実です。要望に逆らってまで違う商品を勧めるわけにはいきません。

 グループに資産運用会社の野村アセットマネジメント(NAM)を抱える。顧客に有利な他社の商品よりNAMの商品を優先販売すれば利益相反となる。

 利益相反を防ぐためグループ内に金融商品の評価会社を持ち、商品を評価して顧客にとって最適か否かを判断する仕組みがあります。

 顧客が保有する株式投信の残高のうち、NAMの投信が占める割合は60%です。しかし運用主体ベースでは25%です。海外の資産運用会社は日本で独力で商品を売るのが難しく、NAMで引き受けているものがあるからです。

 これまで「回転売買」など手数料収入を重視する姿勢が批判されてきた証券会社。今度こそ変われるのか。

 医者や弁護士は全面的に顧客側に立たないとビジネスとして成り立ちません。資産形成を預かる我々も同じです。米国では証券外務員は尊敬される仕事として認められています。我々もそうならなければなりません。