若年層を開拓する「ロボアド」

 ITによって進化する新しい金融サービス「フィンテック」の分野では「ロボアドバイザー(ロボアド)」が注目を集めている。最近になって大手金融機関やベンチャーが次々にサービス提供を始めた。

 投資の未経験者がまず悩むのは「何をどれだけ買えばいいのか」。この問いに対し、個人の属性に応じた最適なポートフォリオ(資産構成)を独自のアルゴリズムで導き出すのがロボアドだ。年齢や運用期間、「どの程度の下落に耐えられるのか」というリスク許容度などの質問に答えると、株や債券などの最適な比率を教えてくれる。

 ロボアドのサービスは大きく2つに分かれる。みずほ銀行や三菱UFJ国際投信などは、ロボアドが示したポートフォリオに従い、自社の投信を推奨する。ロボアドを金融商品の販売促進に使うというビジネスモデルだ。

みずほ銀行が提供する「SMART FOLIO」のウェブサイトの画面
みずほ銀行が提供する「SMART FOLIO」のウェブサイトの画面

 一方、お金のデザイン(東京都港区)やウェルスナビ(東京都千代田区)などは、ロボアドを使った海外ETF(上場投資信託)による資産運用サービスを報酬1%(年率)程度で提供している。

 大手金融機関が手掛けるラップ口座の手数料は約2~3%で、最低投資金額は通常300万円を超える。ベンチャー企業のロボアドは1万~100万円の資金で投資を始められ、手数料は1%で済む。

利用者の大半は若年層
●お金のデザイン「THEO」利用者の内訳
利用者の大半は若年層<br/>●お金のデザイン「THEO」利用者の内訳
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 新規参入組は多額の資金を持たない若年層がターゲットだ。お金のデザインによるロボアド「THEO」利用者は半数以上が20~30代。金融機関が軽視してきた層を取り込む。

 有料のロボアドが広まるかどうかは未知数だ。吉井崇裕イデア・ファンド・コンサルティング社長は「米国では資産運用サービスが普及しており、その一部がロボアドに置き換わった。有料の資産相談が一般的ではない日本で需要を掘り起こすのは難しい」と話す。

 ラップ口座と比べると割安に映るが、複数資産に投資してリバランス(再調整)まで行うバランス型投信の信託報酬は0.2~0.8%が主流だ。積み立て投資やNISAに対応していない点もネックだ。ポートフォリオの提案という価値をどこまで訴求できるのかがカギになる。

(日経ビジネス2016年5月30日号より転載)

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