その代わりに新たに生まれているのが低コストの投信だ。購入時に手数料がかからない「ノーロード」と呼ばれる投信が3年前から増え始め、その資金がNISAに向かっている(グラフ「●ノーロード投信の残高と新規設定のインデックス型投信の平均信託報酬」参照)。

低コストの投資信託が増え始めた
●ノーロード投信の残高と新規設定のインデックス型投信の平均信託報酬
低コストの投資信託が増え始めた<br/>●ノーロード投信の残高と新規設定のインデックス型投信の平均信託報酬
注:ノーロード投信の残高は12月末時点、ETFは除く
出所:格付投資情報センター(新規設定のインデックス型投信の平均信託報酬)、イボットソン・アソシエイツ・ジャパン(ノーロード投信の残高)
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 保有コストである信託報酬は全投信の平均値で見ると横ばいが続いている。だが、日経平均株価やTOPIXなどの市場平均への連動を目指すインデックス型投信に限ると劇的に下がった(左下グラフ)。特に昨年秋からは格安の新商品を発売したり、既存商品の信託報酬を下げたりといった運用会社間の価格競争が激化している。

 その結果、国内外の株、債券、REIT(不動産投資信託)などの分野で信託報酬の最安値が更新された。投信を保有する限り日々かかる信託報酬は、長期投資のリターンを左右する。NISAでの投信選びでは重要な項目だ。

 こうした低コスト投信は、30~50代の資産形成層からの支持を集めている。いくつかの商品は価格を下げるために販路をネットに限定したためだ。だが、投信市場全体での売れ筋は相変わらず毎月分配型が上位を占める。

 投信アナリストの吉井崇裕イデア・ファンド・コンサルティング社長は「運用会社は低コストのインデックス型や低リスクのバランス型投信を多数投入した。売れ筋が変わらないのは、新商品を紹介する金融機関の努力が足りないのではないか」と指摘する。長期投資向きの商品がそろっても、その意義を知る人が増えないと市場は変わらない。

金融教育を学校へ

 上場企業は個人を以前より重視し、金融機関は低コスト・低リスク投信を充実させた。個人を取り巻く投資環境は改善が進んでいる。だが、手つかずで放置されてきた重要な課題が金融教育だ。

 「株主同士が他の株主の支持を求めて争うことは何と呼ぶでしょうか?」「プロキシーファイト」。

 今年2月末、高校生による金融知識の日本一を決める「エコノミクス甲子園」が東京都内で開かれた。地方予選を勝ち抜いた44校の生徒が、大人顔負けの知識を次々に披露した。

「エコノミクス甲子園」の賞品は証券取引所を含むニューヨーク旅行
「エコノミクス甲子園」の賞品は証券取引所を含むニューヨーク旅行

 学校関係者は金融教育を長らくタブー視してきた。エコノミクス甲子園を支援するのは金融機関。内閣府や文部科学省、金融庁まで後援に名を連ねるのは危機感の表れだろう。昨秋、金融広報中央委員会は、学習指導要領に金融教育を盛り込むように提言。ジュニアNISAを投資教育の契機と捉える家庭では子供本人に銘柄を選ばせることも考えられる。長年の悲願である「貯蓄から投資へ」を根付かせるためには、金融リテラシーの向上が欠かせない。