キユーピーが「国内」最上位

 国内ブランドとして、最も高い評価を得たのがキユーピーだ。総合力ランキングは、昨年の9位から4位に上昇した。総合力を決定する4つの因子、「フレンドリー(親しみ)」「コンビニエント(便利)」「アウトスタンディング(卓越)」「イノベーティブ(革新)」のうち、キユーピーはコンビニエントで初めて首位を獲得した。

 キユーピーは2015年、ノンオイルドレッシングを刷新し、コクやうま味を増して満足感のあるシリーズを発売した。また、生野菜を付けて食べられる、使い切りの容器に入ったディップソースの種類を増やすなど、野菜をおいしく食べるための商品を出していることがランクアップに寄与した。

 テレビCM(コマーシャル)もブランドイメージの維持や向上につながったとみられる。2015年、主力商品の「キユーピーマヨネーズ」が90周年を迎えたことを記念し、特別CMを制作。歌手で俳優の福山雅治さんが特別に書き下ろした楽曲を流したことなどが、ブランドイメージの向上に結び付いた。

 日清食品の「カップヌードル」は前回の24位から7位に上がり、商品ブランドとしては最も高い順位となった。企業名である日清食品は前回の3位から25位に下降したが、日清食品のズナイデン房子・取締役マーケティング部長は「想定内」というスタンスだ。「若者がカップヌードルを自分のブランドであると実感してもらえるような仕掛けを、2013年から繰り出してきた。こうした成果が表れ始めた」。

ブランドの“老化”に危機感

10~20代の若者に「カップヌードルは自分たちのブランドである」と実感してもらうための広告を強化。ツイッターやフェイスブックでの露出が増えた
10~20代の若者に「カップヌードルは自分たちのブランドである」と実感してもらうための広告を強化。ツイッターやフェイスブックでの露出が増えた

 カップヌードルは今年45周年を迎えるロングセラー商品。だが、社内では危機感が広がっていた。「カップヌードルが時代とともに年を取ってしまい、今の若者には自分たちのブランドという認識がなくなっている」。日清食品の安藤徳隆社長は昨年の社長就任後、本誌にこう語った。

 もう一度、若者にカップヌードルを自分たちのブランドであると捉えてもらうには、どうしたらいいのか。日清食品はここ数年、商品ラインアップを強化してきた。これまでになかった「トムヤムクン」などの風味を次々に発売。2015年には、定番のカップヌードルの具材を刷新して、ファンが「謎肉」と呼ぶ肉を復活させたことがツイッターなどで話題を呼んだ。

 さらにメッセージ性の強いCMを打ち出した。ズナイデン取締役は「若者は『さとり世代』『おとなしい』と言われるが、仲間と騒ぐ様子などを動画で撮影してYouTubeにアップするなど、自分たちで楽しんでいる。大人には理解できなくても、若者の心に響くCMを作れば支持されると思った」と話す。

 反響が大きかったものの一つが、カップヌードルブランドとして初めて発売したパスタ「パスタスタイル」のCMだ。パスタの本場イタリアに行って、イタリア人が商品を食べる様子を撮影。「もうイタリア人に認めてもらうのはあきらめた」というネガティブなキャッチコピーが若者に支持され、ツイッターやフェイスブックで反響を呼んだ。

 カップヌードル関連のメディア露出を広告費に換算した額は2015年、前年比71.1%増となった。「カップヌードルや日清の話題が、気が付けばいつも自分たちの周りに飛び交っていると、若者に思ってもらえるようにしたい」。ズナイデン取締役はこう話す。

 総合力で96位から21位と急伸したコクヨ。因子別の伸びで目立ったのが「フレンドリー」だ。

数量限定でユニークなデザインのノートを作り、文具を買い、使うことを楽しい思い出に変える。一番右は「和ごむ」でその隣が使用例(写真=渡辺 慎一郎)
数量限定でユニークなデザインのノートを作り、文具を買い、使うことを楽しい思い出に変える。一番右は「和ごむ」でその隣が使用例(写真=渡辺 慎一郎)

 年間1億冊を販売する看板商品「キャンパスノート」の発売40周年を記念し、同じく30周年の節目を迎えていた任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」とのコラボレーション企画を実施した。ゲームに登場する「マリオ」など6つのキャラクターを表紙に使った20万冊限定の「限定柄キャンパスノート<マリオ>」を2015年11月上旬に発売。アマゾンでわずか2日で完売するなど、話題を集めた。

 コクヨは2009年から、「コクヨの製品を使って楽しかったり、役に立ったりしたという思い出の提供」(コクヨ ステーショナリー事業本部企画本部の白石良男・広報宣伝部長)に力を入れてきた。文具の総アイテム数は1万点もあり、個別の販促は難しい。その代わりに、コクヨの製品を使った「良い思い出」を残すことで長期的なファンを増やそうとしている。

 ノートの表紙を飾り付ける「デコノート」の体験講座を開いたり、成績アップにつながるノートの取り方をホームページ上で紹介したりするなど、地道な活動を展開。「スーパーマリオブラザーズ」とのコラボレーションも、コクヨ製品とともにある楽しい経験の提供であり、一貫したブランド戦略が奏功したようだ。

 2015年10月に数量限定で発売したゴムバンド「和ごむ」と、絵の具「なまえのないえのぐ」。この2つの商品は、デザイン面などでユーザー目線を学ぶために2002年から開催する商品アイデアの公募イベント「コクヨデザインアワード」で過去に入賞した作品を商品化したもので、そのユニークさがネット上などで話題になった。

 和ごむは贈答品を包む紙袋を蝶結びにする時に使う飾りひもを模したゴムバンド。小物などを人に贈る際に使えば、感謝の気持ちを簡単に表せる。なまえのないえのぐはシアン、マゼンタ、イエローの3原色の配合比率のみで、10色の絵の具を表現した。日頃はコクヨ商品を指名買いしない一般の消費者にも、ブランドを浸透させる効果があった。「和ごむ」は定番商品の一つとして販売を継続している。

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