女性管理職の育成や、数値目標の到達に成功している企業に共通するのは、「個を伸ばす」という視点だ。

 社員一人ひとりの価値観やライフスタイルの多様化に目を向けながら、強みを見極め、能力を引き出し、適材適所の配置などを通じて人材を生かすのがダイバーシティ経営の原点。女性の活躍推進への取り組みは、本気のダイバーシティ経営への重要な足がかりとなる。

働きがい働きやすさ、この会社が優秀
●採点カテゴリー別ベスト3社

一般職女性の戦力強化へ、生保業界、最後の“聖域”改革

総合ランキングの上位10社のうち、4社を占めた生命保険業界。各社が注力するのは事務作業を中心に担ってきた“一般職”の女性の戦力強化だ。管理職への登用のほか、業務内容の見直しが進む。

 正社員のうち女性が9割近くを占める生命保険業界。ゆえに早い段階から仕事と家庭・育児との両立支援策を打ち出してきた。

 そんな生保各社は今、女性管理職の数値目標を掲げ、女性社員の意識改革や能力開発に力を注ぐ。中でも各社の戦略を表すのが一般職の活躍推進策だ。

 2000年代半ばから一般職の“底上げ”を意識し、取り組みを続けてきたのが総合ランキング1位の第一生命保険だ。09年に一般職を地域限定で働く総合職(エリア職)にし、「事務のみならず、商品の企画・立案や営業などへと、さらに業務の幅を広げた」(ダイバーシティ&インクルージョン推進室長の富所幸子氏)。

 なぜ、早い時期から一般職の戦力強化に動いたのか。背景には苦い「調査結果」の存在があった。

 03年のことだ。社内のアンケート調査で、女性社員のうち、第一生命の従業員であることに満足と答えた人が47.6%と、男性に比べて著しく低いことが判明した。04年には、満足度は46.8%とさらに下落。「ショッキングな転換点だった」(富所氏)

 当時、内勤職の女性はほぼ全員が一般職だった。「彼女たちの満足度が向上しない限り、顧客満足度を高めることはできない」と危機感を持った経営層は、座談会など対話の場を通じて一般職の女性たちの本音を聞き出した。

 「子供を産んでも働き続けたい」「学習の機会が欲しい」。集まった声の多くが、両立支援策の充実と、能力開発体系の充実を訴えるものだった。そこで05年に女性活躍推進の専門部署を設け、06年には産前・産後休暇を100%有給化するなど両立支援策を大幅に改定。09年には人事制度改定を行い、一般職の廃止に踏み切った。