待機児童問題は、地域による偏りの大きさが特色だ。都市部では待機児童が増えているが、少子高齢化の影響を色濃く受ける地方ではゼロというところも珍しくない。認可保育園の設置計画は自治体に権限がある。機動的な対応が求められるが、需要の急激な増大に対応できていない自治体が多い。

対策を打っても高止まり続く
●待機児童数の推移
注:各年4月1日時点
出所:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」よりみずほ銀行産業調査部作成
高所得世帯の利用が多い
●認可保育園利用者とそれ以外の分布
出所:『社会保障亡国論』(鈴木亘著)
地域によって隔たりが大きい
●待機児童の分布状況
出所:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」より

現在まで続く「戦後の福祉」

 対策が追いつかない根本原因は、保育が「福祉」という現実と離れた建前を引きずり続けていることだ。

 保育制度の原点は、第2次世界大戦にある。戦災孤児が大量に発生したことや乳幼児の死亡率が高かった状況を受け、社会福祉法人が保育園の設置・運営主体として中心的な役割を担うことになった。母子家庭で母親がフルタイムで働かざるを得ないといった理由で「保育に欠ける」子供を、市町村が保育園で面倒を見る。これが保育の根本的な考え方として維持されてきた。

 高度経済成長期に入っても、男性が家庭の大黒柱で女性は専業主婦というあり方が主流。フルタイムの共働きという、当時としては特殊な家庭をサポートする存在だった。