アンケートで集まった声からも鳥貴族の人気がうかがえる。「料理のボリューム、味、値段の全てがリーズナブル」(43歳男性、会社員)といったコスパを評価するコメントが多かった。コスパの良さを評価する目安として、記者は提供される料理の分量を計測して、料金で割るという比較をしてみた。

 鳥貴族の看板メニュー、ネギと鶏肉の串焼き(ねぎま)「貴族焼(たれ)」は、計測したところ2本セットで130.5g。1gあたり2.28円だった。ねぎまを扱っていないチェーンもあったが、実測値ではやきとりの扇屋が2位で2.97円(1本150円で50.5g)だった。

 枝豆は98.5gと少量ながら190円で販売する串カツ田中が1gあたり1.9円。計測したチェーンの中、唯一1円台で安かった。ビールやつまみは提供するごとに量などに差が生じるものだが、一定の傾向は読み取れるだろう。

ビール値上げせず我慢比べ

安さを訴求し店舗を拡大
串カツ田中社長 貫 啓二氏  
串カツ田中「現在の178店から2018年11月末までに221店に増やす。目標は1000店。出店余地は十分にあるが、類似店も出てきた。スピード展開が必要だ。1串100円のメニューをそろえ、客単価を下げている。持ち帰りや宅配で家族客にも訴求したい」(談)
楽しめる店で違い出す
SFPホールディングス社長 佐藤 誠氏
磯丸水産「多店舗展開するには、大衆的な店であることが必要だ。浜焼きスタイルで、楽しめる店づくりを進めてきた。立地も来店しやすい路面店にこだわってきた。いけすの設置や鮮魚の仕入れでノウハウがあり他社がまねできない仕組みを作っている」(談)
業績悪化、再構築図る
エー・ピーカンパニー社長 米山 久氏
塚田農場「人気店となり無理に出店を急いだことから業績が悪化した。今後、『つかだ』ブランドで、新たに食材にこだわった焼き鳥店や炉端焼き店などを展開する。地鶏の仕入れルートの強みを生かせる。魚介類の仕入れ網を生かしたすし店も検討中だ」(談)
(写真=3点:北山 宏一 )

 生き残りの条件として安さが一段と重要になっている居酒屋チェーン。串カツ田中の貫啓二社長は「メニューによりお得感を出して客単価をさらに下げる努力を続けている」と話す。

 だが、安さを強調しようとする各社には、強い逆風が吹いている。メーカーによる業務用ビールの値上げだ。アサヒビールは今年3月から、他の大手3社は4月からビールの納入価格を値上げする。値上げ幅は商品によっても異なるが1割程度。仮に居酒屋がそのまま料金に転嫁すれば1杯300円のビールは330円になる。

 とはいえ簡単に転嫁できるような状況にはない。アンケート調査では、酒類が値上げされた場合に、消費者がどう対応するかについても聞いた。居酒屋に「行く回数を減らし、飲む量も減らす」と答えた人が21.4%など、消費行動を変えるという選択をした人が46.0%を占め、値上げに敏感に反応する姿勢が浮き彫りになった。

 こうした「客離れ」を警戒して、大手チェーンは値上げに慎重だ。非上場のチェーン、「養老乃瀧」は4月からビールを値上げすることを表明しているが、今回調査した10チェーンに聞いたところ、3月中旬時点で値上げを決めているチェーンはなかった。