不足する労働力は約11%

 まず、各産業で働くロボットの現状と今後の進化を見る前に、2040年にどの産業でどの程度、人が足りなくなるのか、確認する。

 自治体の数が半減するとの予測もある2040年(日本創成会議の人口減少問題検討分科会)。当然、労働力も大きく減る。

 国立社会保障・人口問題研究所によれば、総人口は現状の1億2660万人から1億728万人に、生産年齢人口は7682万人から5787万人になる。その時点で現在の生産能力を維持しようとした場合、各産業で足りなくなる人手数を一覧にしたのが上の表だ(試算はトーマツベンチャーサポート)。全産業で586万人、必要就業者の約11%分が不足する。

 ただ、トーマツベンチャーサポートの瀬川氏は「11%程度なら、ロボットによる代替で何とかなる」と指摘する。

試算1▶▶▶ 第1次産業

農機の自動運転が完成
不足20万人は十分カバー

 トラクターや田植え機は自動運転で稼働し、複数台が連携して作業する。マルチコプターに備え付けたカメラが空中から土壌の状態を確認し、肥料の成分と量を決める。田畑に人の姿は一切ない──。2040年にはこんな田園風景が当たり前になるかもしれない。

 現時点で既に人が足りない第1次産業。農業では、2040年には20万人分の労働力不足が見込まれている。2015年の農業就業人口の平均年齢は66.3歳。今後も高齢化は避けられず、自動化を進めるにしても、「ロボットがカバーしなければならない作業範囲」は年々広がっていく。

農家の仕事は戦略立案が主に

 しかし、クボタの専務執行役員で研究開発本部長の飯田聡氏は「問題はない」と話す。飯田氏によれば、2040年には農機が完全自動化し、農家の主な仕事は販売戦略の立案や情報分析になる。そうなれば農業専用ロボなどを開発するまでもなく、人手不足も高齢化も乗り越えられるという。

 2014年には、ICT(情報通信技術)を活用した農業支援システム「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」を開発。農作業の完全自動化へ向け、布石を打ち始めた。

 人が全く土いじりをしなくなるわけではない。新たな栽培方法や品種改良の研究のため、一部、人の手による栽培は続ける。「24年後ではさすがに、農機自身が農作業の改善点などを見つけ修正するまでには至らない」(北海道大学農学部の野口伸教授)からだ。

 それでも、大幅な自動化で農業に必要な労働力は確実に減る、と関係者は口をそろえる。「課題はむしろ法整備。だが四半世紀もあれば、農機が農村を自律的に動き回れる環境が整うはず」(飯田本部長)。少なくとも農業については、自動化さえ順調に進めば、大量の移民の手を借りる必然性はなくなる、と言ってよさそうだ。

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