消費の勢いがなかなか上向かない。その一方、経済統計の課題も指摘されている。高市早苗・総務大臣の下で2016年、「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」が発足。同研究会の国友直人座長ほか2人の専門家が、消費統計の現状と課題について議論した。

(写真=陶山 勉)
1 熊谷亮丸 くまがい・みつまる
1966年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ハーバード大学経営大学院AMP(上級マネジメントプログラム)修了。2015年より大和総研執行役員 調査本部副本部長 チーフエコノミスト。
2 国友直人 くにとも・なおと
1950年生まれ。スタンフォード大学Ph.D(経済学)。東京大学教授を経て、2016年より明治大学政治経済学部特任教授。2013~15年、日本統計学会会長を務める。
3 高市早苗 たかいち・さなえ
1961年生まれ。神戸大学経営学部卒。93年衆議院議員初当選(現在7期目)。内閣府特命担当大臣や自由民主党の政務調査会長などを歴任し、2014年9月より総務大臣。
4 渡辺 努 わたなべ・つとむ
1959年生まれ。ハーバード大学Ph.D(経済学)。日本銀行、一橋大学教授を経て、2011年より東京大学経済学研究科教授。日経CPINowなどを配信するナウキャストを創業。

高市 いつの時代でも、景気は話題の中心になりますが、景気を肌で感じられるのは、やはりGDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を通じてではないかと思います。消費動向に関して皆さんがよく使っている指標は、GDPの家計最終消費支出なども含めて大体7つくらいでしょうか。それぞれに特徴があるのですが、不十分な面も感じています。

 例えば総務省では家計調査を実施していますが、毎月発表しているのは「2人以上の世帯」の結果です。昨今では、いわゆる“おひとりさま”の消費行動が商品開発や販売戦略でも無視できない状況ですが、こうした単身世帯の動向が家計調査では捉えきれておらず、物足りない部分もあります。

景気判断には多くの指標が使われるが「物足りない」面も
●消費動向を見る際に使われる主な統計指標
家計調査(消費水準指数) 家計消費指数 消費総合指数 GDP速報(QE)(家計最終消費支出) GDP確報(家計最終消費支出) 消費活動指数 商業動態統計調査
所管省庁 総務省 総務省 内閣府 内閣府 内閣府 日本銀行 経済産業省
公表周期 1カ月に1度 1カ月に1度 1カ月に1度 四半期に1度 1年に1度 1カ月に1度 1カ月に1度
公表日 翌月末 翌々月中旬 翌々月中旬 翌々月中旬(1次速報) 翌年末 翌々月上旬 翌月末(速報)
ミクロ/マクロ ミクロ(世帯単位) ミクロ(世帯単位) マクロ(国全体) マクロ(国全体) マクロ(国全体) マクロ(国全体) マクロ(国全体)
データ元 需要側(調査世帯の家計簿を集計し作成) 需要側(家計調査を他調査で補完し作成) 需要側供給側(各種統計を合算し作成) 需要側供給側( 各種統計を合算し作成) 需要側供給側(各種統計を合算し作成) 供給側(各種統計を合算し作成) 供給側(調査企業・事業所の売り上げを集計し作成)