作成過程で従業員から様々な声を集めたが、池田主幹にとっても、「におい問題」は予想外だったという。「同僚のにおいが耐えられない」。女性社員を中心に上がるこんな意見は1件や2件ではなかった。「皆、口にも出せず、耐えていたのか」。におい対策を促すページはこうして作られた。

 セクハラ、パワハラならぬ「スメハラ」が、企業社会で注目されている。正確には、スメルハラスメント。においで周囲に不快な思いをさせることを指す。男性化粧品を手掛けるマンダムが昨年5月に働く男女約1000人に行った調査によると、6割超が同僚の体臭や口臭などのにおいが気になると回答。スメハラはすっかり言葉として定着しつつある。

体臭、口臭だけじゃない

においは職場で最も気になるが、 最も言いづらい
●職場で同僚などの容姿や身だしなみで「どうにかしてほしい」と思うこと
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●ビジネスシーンで他人のにおいは指摘しにくいか?
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注:マンダム調べ、東京・大阪在住の男女1028人に対しインターネットで調査

 見逃せないのが、体臭や口臭だけでなく本来は「快適」であるはずのにおいにも「不快」と感じるビジネスパーソンが多い点だ。マンダムの調査では香水や化粧品は3割、柔軟剤や芳香剤は1割が気になると回答している。

 中でもやり玉に挙がるのが柔軟剤のにおい。2000年代半ばから米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の柔軟剤「ダウニー」の輸入品がヒットし、においを際立たせた商品投入が相次いだのがきっかけとされる。大同大学情報学部かおりデザイン専攻の光田恵教授は「社会が清潔になりゴミなどの不快なにおいが少なくなる一方で、これまで日本人が体感したことがない甘いにおいなどが登場し不快に感じる人が出てきたのでは」と指摘する。

<span class="fontBold">柔軟剤などにおいが強い商品もスメハラの要因に</span>(写真=スタジオキャスパー)
柔軟剤などにおいが強い商品もスメハラの要因に(写真=スタジオキャスパー)

 P&Gジャパンや花王などは、商品の背面やテレビCMなどで、においで不快になる恐れがあることを注意喚起しているとはいえ、「状況は劇的に改善したとはいえない」(業界関係者)。

 読者の中には「たかがにおい、過剰反応だ」と思う人も多いだろう。確かにスメハラは、「セクハラやパワハラのように加害者側が認識できる行為ではなく自覚がない」(弁護士法人Proceedで代表を務める多田猛弁護士)。法律で定められているわけでもなく一概にセクハラと同列にはあつかえない。

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