10年間で機体姿勢を制御できるロケットの開発までこぎ着けた
●堀江貴文氏のロケット開発の歩み
10年間で機体姿勢を制御できるロケットの開発までこぎ着けた<br />●堀江貴文氏のロケット開発の歩み
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 この日のひなまつりの実験は見事失敗。点火しても発射台を離れずに小規模爆発を起こし、炎上した。それでも、堀江は焦らなかった。成功に失敗はつきもの。きちんと検証して将来に役立てればいい。

 メンバーたちは早速、失敗の検証に取り掛かった。そんな中、献身的に作業を進める一人の学生に目が留まる。東京工業大学の修士課程修了を間近に控えていた学生、稲川貴大(28歳)だ。なつのロケット団に参加していたが、堀江が会うのはこの日が初めてだった。

 「君、これからどうするの?」

 そう聞くと、4月から大手カメラメーカーでの就職が決まっているという。その時、堀江の中に素朴な疑問が湧いてきた。本当にそれでいいのか、と。

 「本格的にロケットを量産するためにもフルコミットできる人が必要なんだ。君、本当はやりたいんでしょう? カメラじゃなくて、ロケット」

 堀江のこの言葉が、稲川の人生を変えた。3日後の4月1日、稲川は就職先の入社式会場にいた。辞意を伝えると、人事部長は稲川を別室に連れて行き、こう言った。「非常識にもほどがある。机もパソコンも用意しているんだぞ!」。

 申し訳ない気持ちで必死に理由を説明した。ロケットの打ち上げ実験に立ち会い、衝撃を受けたこと。失敗したのに、どうしてもロケット開発をやってみたくなったこと。すると、人事部長は最後に手を差し出し、こう言った。「そうか、分かった。がんばれよ」。

 この稲川こそが、ロケットビジネスにおける堀江の右腕となる男だった。

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