回転ずしでマイナー魚を使用

 オジサン、コショウダイ、ホウボウ──。東京都西部を中心に展開する回転ずしチェーン「魚屋路(ととやみち)」の一部店舗では、こうした珍しい魚のすしネタが日替わりで、手書きで表示される。

 魚屋路では長崎県などの漁港と組み、様々な種類のマイナー魚を1つの箱に収めた「鮮魚ボックス」を仕入れて、すしネタとして活用している。同店を運営するのは、外食大手のすかいらーく。同社ですしネタの調達を担当する、TTメニュー開発チームの秋本五郎リーダーは「知名度は低くても味の良い魚は多い。仕入れ状況を見ながら、季節ごとに旬のネタを提供することを心掛けている」と話す。

 マイナー魚は初めから狙って手に入れるのではない。ブリやサワラなど、他の魚を捕ろうと仕掛けた網で一緒に水揚げされるケースが多い。ただこれらは地元で消費されたり、養殖魚のエサになったりするほかは、捨てられることがこれまで多かった。その量は「水揚げした魚の2~4割を占める」(東京財団の小松正之・上席研究員)ほどだ。そのマイナー魚を捨てずに、貴重な水産資源として少しでも活用しようとする動きが、魚屋路以外でも進んでいる。

 一例が京都市の鮮魚卸会社、食一。全国の100以上の漁港と提携し、マイナー魚に絞って仕入れ、飲食店などに卸す。扱う種類は幅広いが、その中でも特に同社が質の良い魚と認めたハチビキ、ウチワザメなど10種類の魚を「海一流」と名づけて推奨、販売している。食一の田中淳士社長は「消費者が日常食べる魚は10~20種類ほどだが、国内では500種類は魚が捕れる。知られざるおいしい魚も多く、活用しない手はない」と話す。

 現在は大阪府豊中市の回転ずし店「ぶっちぎり寿司」や和食店「笹庵」が、食一から仕入れたマイナー魚を「銘魚」と名付けて調理し、提供する。現在は東京や大阪に本社を置く大手すしチェーンも、食一が扱うマイナー魚の利用を相次いで検討している。

 野菜宅配大手で水産物の販売も手掛ける大地を守る会(千葉市)は、マイナー魚や、一般的な魚種でも規格外の魚を「もったいナイ魚」として仕入れて販売。全国33のメーカーと提携し、ガストロ、ハツメ、チカといったマイナー魚を切り身などにして、個人会員に宅配している。

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