メーカーで相次ぐ品質管理の不祥事で、日本のモノ作りへの信頼が揺らいでいる。転落を食い止めるには、トレーサビリティーの仕組みを早急に導入することが欠かせない。「万能薬」となり得る仕組みを導入する際には「優先順位をつける」などの工夫も必要だ。

(日経ビジネス2017年11月13日号より転載)

無資格者による完成検査が発覚した日産自動車では、EV(電気自動車)の「リーフ」などを生産する追浜工場などの稼働を一時停止した

 東京モーターショーのプレスデー期間だった10月25日、東京ビッグサイトの会議室。日産自動車の星野朝子専務執行役員は、9月末に公表した同社の無資格者による完成検査問題を受け、沈痛な面持ちでこう切り出した。

 「ほとんどのクルマの登録を止めているので、いつカムバックできるか(分からない)。10月は(販売に)ダメージがあったけれど、11月以降はどうなるか……」。普段の自信に満ちた話しぶりは鳴りを潜め、終始、弱々しい声で弁明を続けた。

製造現場での不祥事が頻発

 日産、SUBARU(スバル)、神戸製鋼所……。最近頻発する製造現場での不祥事は、会社の屋台骨を揺るがしかねない大問題に発展する可能性もある。

 日産が無資格検査で国土交通省にリコールを申請した台数は10月30日時点で120万台。費用は250億円を超えそうだ。10月19日に追浜など6工場の稼働を一時停止。これを受けてカルソニックカンセイなどの部品メーカーから関連費用を請求される可能性も浮上する。業績への影響は免れない。

 製造現場でのさまつに見える過ちが、なぜここまで深刻な問題に発展するのか。その最たる要因が「製品一つひとつ(個体)を識別できるトレーサビリティー」の不備にある。