「フェラーリ」以外の選択肢を

 医療業界からは“本命”とも言われるオリンパスも、新たに手術支援ロボットを発表した。同社は消化器内視鏡の世界シェア70%を握る世界的にも認知度の高い企業だ。

 「今のダビンチは、近所のコンビニに行くのにも、リゾート地で走るにも、すべて最高級のフェラーリで走っているようなもの」と藤田保健衛生大学病院の白木医師。より特定の手術や手技を手助けするようなロボットがあってもいいと考える医師は少なくない。オリンパスが6月に発表した「消化器内視鏡治療支援システム」はそうした医師の声に応える製品と言ってよさそうだ。

 消化器内視鏡治療支援システムは、2つの鉗子が付属する内視鏡を肛門から消化管に挿入し、消化管内でがんなどの病変を切除する手術に使う。ダビンチのように、操作卓から遠隔操作し3つの関節を自在に動かす仕様だ。現時点で発売予定や価格は未定だが、「基本は商品化することを前提に開発している」(オリンパス技術開発部門の小賀坂高宏氏)。発売にこぎ着けることができれば、白木医師の言う「フェラーリ以外の選択肢」となりそうだ。今後についても、「腹腔鏡における手術支援ロボットの開発の可能性も排除していない」(小賀坂氏)と意気込む。

 ポストダビンチを狙う企業は既存の大手メーカーにとどまらない。東京工業大学と東京医科歯科大学の研究成果を基に立ち上げたベンチャー企業リバーフィールドもそうした企業の一つ。8月に手術執刀医が自らの意思で内視鏡を動かせる「EMARO」を発売した。

 従来の内視鏡手術では、執刀医以外に内視鏡を操作する「スコピスト」という助手が必要だった。EMAROは、術者自らがペダルや頭部につけるジャイロセンサーによって空気圧で内視鏡を操作できる。

 「内視鏡手術の数は増える一方で、医師不足は続いている。EMAROがあれば医師不足を解消できるだけでなく、ロボットが内視鏡を持つことによって手ぶれも防止できる」と説明するのは東京医科歯科大学の川嶋健嗣教授。EMAROで養ったノウハウを生かし、2019年には手術支援ロボットを出す予定だ。「(ダビンチ対抗となる)手術支援ロボットが、我々の本命」と川嶋氏は意欲を見せる。

政府もロボット産業を後押し

 相次ぐ民間企業の参入に呼応するように、政府や関連省庁のバックアップ体制も整ってきた。従来、日本での医療機器登録には課題が多くあった。特に、その審査期間の長さは多くの医療関係者が苦言を呈するところで「医療機器を出すなら、日本から出すのではなく、まずは海外で実績を作ってから、というのが定石だった」と話す関係者は少なくない。