同社は昨年6月にMVNOに参入したが、当初の想定よりも顧客の獲得に苦戦した。これまでKDDIの回線を借りてサービス展開してきたが、テコ入れを図るため昨年9月からはドコモ回線を利用したプランの提供を開始。料金の一部引き下げにも踏み切った。
●3キャリアの接続料金(10メガbps当たり)の推移

市場が拡大しているにもかかわらず、マイネオが顧客獲得にてこずった背景には、津田マネージャーが指摘するように、昨年を境にMVNOに参入する事業者が相次いだためだ。
新規参入組の中には、自社で通信設備を抱えていない企業も多い。通信設備を保有・運用するMVNOのサービスを仕入れたり、独自ブランドとして展開したりすることで、通信設備を持たなくてもサービス展開できるからだ。
その顔ぶれを見ると、ネット通販やコンテンツ配信、総合小売り、家電量販店など異業種が目立つ。各社が販売促進を強化した結果、MVNOの知名度は急上昇したが、顧客の奪い合いも激化した。
価格競争は熾烈だ。ケイ・オプティコムが料金引き下げを発表した3週間後にはビッグローブが一部プランの値下げを発表。業界最大手、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」は通信容量1ギガバイト当たりの料金が2年間で3分の1まで下がった。
●OCNモバイルONEの通信容量1ギガバイト当たりの料金の推移

MVNOが値下げの「原資」にしているのは、キャリアへの接続料だ。キャリアはMVNOの求めに応じて、設備投資を加味した「適正な原価」に「適正な利潤」を上乗せした接続料で平等に回線を貸し出さなければならない。設備投資が一巡したこともあり、その接続料は大きく下落している。
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