MVNOのSIMカードとSIMフリー端末の安さが注目され、双方を合わせて「格安スマホ」と呼ぶ風潮が定着した。ただ「我々が『格安』なのではなく、キャリアの通信サービスや端末が『割高』だった」とする声も業界内では多く出ている。
広がる格安スマホ売り場
家電量販各社は相次いで格安スマホの販売を強化している。ヨドバシカメラは2015年6月末までに格安スマホの専門カウンターを全店に設置。さらにMVNOのSIMカードを組み込んだスマホを即日開通できるよう、MVNOの多くが回線を利用しているドコモの顧客情報管理システムを同年9月末までに全店に設置した。ビックカメラは専門売り場をグループのコジマの店舗にも広げ、ヤマダ電機はMVNOに加入する際の初期費用を一部無料にするサービスを始めた。
MVNOがキャリアのように独自の売り場を設置する動きも進む。独自SIMカードの発行や、SIMフリー端末のブランド、FREETEL(フリーテル)を展開するプラスワン・マーケティングの増田薫CEO(最高経営責任者)は「今後はヨドバシカメラの全店に自社の売り場が登場する」と明かす。
楽天も「今後は家電量販店に独自売り場を展開していきたい」(モバイル事業を統括する平井康文副社長)という。路面店展開も進めており、2015年8月には兵庫県と宮城県に新規出店し、都内でも新しい店舗の展開を進めている。
新規参入相次ぎ価格競争激化
格安スマホの台頭により変わりつつあるのは、売り場だけではない。キャリアから端末まで、スマホ・携帯電話を取り巻く業界全体が格安スマホへの対応を迫られている。
「こんなに競合が増えるとは思わなかった」。関西電力の子会社で、MVNO「mineo(マイネオ)」を展開するケイ・オプティコムの津田和佳グループマネージャーは振り返る。
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