大震災後2年で「みそぎ」

 お台場と言えば、「雑草の生えた広大な空き地」が広がる場所というイメージを抱く人も多いだろう。1995年に東京都知事選で青島幸男氏が当選。公約を守って、お台場を中心とする臨海副都心で開催される予定だった世界都市博覧会を中止すると、開発の流れはピタリと止まった。フジテレビが97年に本社を移転し、一時は注目を浴びた時期もあった。だが2000年以降は都心の再開発事業にお株を奪われ、話題に上ることはあまりなかった。

 その臨海副都心と呼ばれるベイエリアの開発が今、にわかに動き始めている。2020年に開催される東京五輪の選手村や競技会場の多くが建設されるからだ。環状2号線の延伸(新橋~豊洲間、2016年開通予定)などの交通インフラの整備も見込んで、商業施設や宅地の開発を手掛けるデベロッパーがベイエリアに秋波を送っている。

(写真=川澄・小林研二写真事務所)
(写真=川澄・小林研二写真事務所)
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<b>船の科学館に近い場所では豪華客船が停泊できる埠頭が整備される(上が予定地)。下は建設中の豊洲新市場</b>
船の科学館に近い場所では豪華客船が停泊できる埠頭が整備される(上が予定地)。下は建設中の豊洲新市場

 「ベイエリアにおけるマンションの供給は、2011年3月の東日本大震災以降、2年間近くストップしていた。豊洲に野村不動産の『プラウドタワー東雲』が2012年暮れに誕生したのを皮切りに、次々と物件が売れ始めた」。不動産コンサルティング会社、スタイルアクトの沖有人代表はこう語る。

 不動産調査会社の東京カンテイによると、今後ベイエリアで供給される分譲マンションの戸数は、判明しているだけでも1万戸に及ぶ(選手村跡地の利用は除く)。「東京五輪を契機にマンション開発は継続すると見られ、特に開発余地の多いベイエリアでは供給が加速するだろう」(東京カンテイ)。

 歴史を遡れば1590(天正18)年、江戸の民の居住地とゴミ捨て場を確保するために始まった東京湾の埋め立て。それから425年が経過した今でも埋め立ては継続中で、その面積は東京23区の面積の約13%(約7000ヘクタール、都外のエリアは除く)にまで広がっている。まさに今、広大な埋め立て地が「ニュータウン」として生まれ変わろうとしている。五輪施設と言えば新宿区と渋谷区にまたいで造られる新国立競技場に注目が集まっているが、規模で言えばベイエリアの方が上。見えざるところで次々と大型プロジェクトが動き出している。

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