太陽光充電は実燃費を重視

 実燃費の向上を狙って日本仕様車と欧州仕様車にオプション搭載するのが、太陽光による充電システムである。同システムは屋根に搭載した太陽光パネルと、同パネルで発電した電力を蓄えるニッケル水素電池、DC-DCコンバーターを内蔵したECU(電子制御ユニット)で構成する。

屋根に設置した太陽電池パネル。停車中に発電した電力は駆動用のリチウムイオン電池に、走行中に発電した電力は電圧12Vのシステムに供給する。最大出力は180W。
屋根に設置した太陽電池パネル。停車中に発電した電力は駆動用のリチウムイオン電池に、走行中に発電した電力は電圧12Vのシステムに供給する。最大出力は180W。
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 駆動モードは二つに分かれる。停車中は、太陽光パネルで発電した電力をニッケル水素電池に一時的に蓄え、駆動用のリチウムイオン電池にまとめて送ることで同電池を充電する。走行中は、太陽光パネルで発電した電力をリチウムイオン電池に送るのではなく、補機類を動かす電圧12Vシステムに供給する。これにより、12Vシステムに一部の電力を供給しているリチウムイオン電池の消費を抑えられる。

 このように太陽光充電システムは、実走行時のEV走行距離の延長や燃費改善に一定の効果が期待できる。ただし、太陽光パネルの最大出力は180Wにとどまる。晴れた日に1日発電しても、充電できる電力は走行距離に換算して最大5km分、平均的に2.7km分と少ない。さらに、充電できる電力は天候に左右されるため変動が大きい。こうした理由からトヨタは、「太陽光充電システムによる燃費改善効果は、JC08モード燃費にはカウントしない」と説明する。

CFRPでバックドアを3kg軽く

 ボディー関連では、バックドアの材料を現行モデルのアルミニウム(Al)合金製からCFRP(炭素繊維強化樹脂)製に変えて、質量を3kg軽くした。CFRPを使ったのは、バックドア内側の骨格部分である。

バックドアの骨格部分。Al合金製からCFRP製に変えることで、バックドア全体の質量を3kg軽くした。
バックドアの骨格部分。Al合金製からCFRP製に変えることで、バックドア全体の質量を3kg軽くした。
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 新型プリウスPHVは現行モデルに比べて、リアのオーバーハングを80mm長くした。現行モデルに比べて容量が2倍のリチウムイオン電池を搭載するスペースを確保することに加えて、広い荷室を実現するためなどである。バックドアの材料がAl合金のままでは車両後部が重くなってしまうため、新型モデルではSMC(シート・モールディング・コンパウンド)で成形した熱硬化性CFRPに変えた。シート状の中間素材を外部の樹脂メーカーから調達し、SMC成形はトヨタが行った。

 材料をCFRPに変えることで、同じ形状の製品をAl合金で造る場合に比べて、バックドアの質量は3kg軽くなった。ただし、新型モデルではリアのオーバーハングを長くした他、後方の視界を良くするためにガラス部分を左右に拡大したため、バックドアの形状は現行モデルよりも大きくなっている。そのため実際の質量は、「現行モデルのバックドアとほぼ同じ」(トヨタ)という。

(日経Automotive、2016年8月号より)

日経ビジネスと日経Automotiveが共同開催する本サミットでは、「クルマとそれを取り巻く社会の未来」を予想するキーマンを招き、2030年に向けて自動車の将来像がどのように変わっていくかを展望します。